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HDRとは
HDRとは、High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称で、従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)に比べてより広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)を表現できる表示技術です。
下図の通り、一般的なSDR映像では日陰が黒つぶれしたり日向が白飛びしたりしますが、HDR映像では明るい部分と暗い部分どちらの階調も犠牲にすることなく、より自然でリアルな描写が可能になります。
HDRは次世代の高画質技術として注目されており、Netflixをはじめとする動画配信サービスやUHD Blu-rayではすでにHDRで作成されたコンテンツの配信が始まっています。
■明暗差の大きい映像の見え方の違い(イメージ図) |
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SDRでの見え方 日陰の暗い部分が黒つぶれ |
SDRでの見え方 日陰の黒つぶれを防ぐと日向が白飛び |
HDRでの見え方 |
高画質をかなえる5つの要素
映像の画質を左右する要素には以下の5つがあります。
①解像度 ②ビット深度 ③フレームレート ④色域 ⑤輝度(ダイナミックレンジ) |
このうち、「解像度」「ビット深度」「フレームレート」「色域」の4つは、4K/8K UHD放送の規格である「BT.2020」※においてすでに標準化されていますが、これまで「輝度」は明確な基準が無く、長らく100cd/m2が業界基準として使われてきました。このため、従来の映像制作では、高輝度部分は表示装置の特性に合わせて圧縮する必要があり、現実の風景とは程遠い映像となっていました。
しかし近年、表示技術の向上によって表現できるダイナミックレンジが拡張したため、まるで現実世界のような明るさと色表現を楽しめるようになりました。
これが、今、HDRが注目を集める理由です。
※ 2018年末から放送開始予定の4K/8Kスーパーハイビジョン放送の規格。現行のフルハイビジョン規格はBT.709と呼ばれる。
①解像度 = 映像のきめ細やかさ
解像度は、画素の数を示します。同じ画面サイズであれば、解像度が大きいほど画素数も多くなるため、よりくっきりときめ細やかな映像を表示できます。4K UHDの解像度3840×2160は、一般的なフルハイビジョンの4倍もの情報を伝達できます。
■解像度の違い(イメージ図) |
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2K |
4K |
8K |
② 「ビット深度」 = 色・グラデーションのきめ細やかさ
ビット深度は、1画素が表示できる色の数を表します。ビット深度が高いほど、たくさんの色を表示でき、より自然で滑らかなグラデーションを実現できます。8ビット表示の場合は約1677万色、10ビット表示の場合は、約10億7374万色もの色を再現可能です。
■階調の違い |
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8-bit表示イメージ |
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③ 「フレームレート」 = 動きの滑らかさ
フレームレートとは、1秒間に何枚の画を表示しているかを示します。映画は24p(1秒間に24コマ表示)、一般的なテレビの場合は、60i=30p(1秒間に30コマ)が主流です。
8K放送で標準化されているBT.2020では、120pまで定義されており現実世界とほぼ遜色のない滑らかな動きを表示できます。
■フレームレートの違い(イメージ図) |
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30p=60i |
60p |
120p |
④「色域」 = 色彩の鮮やかさ
色域は、表現できる色の範囲を示します。右図は人間の目が知覚できるRGBを平面上に再現した色域図です。この三角形で囲まれた部分が大きいほど、より豊かな色彩を表現できます。 4K/8K放送で標準化されているBT.2020(Rec.2020)は、従来のフルハイビジョン放送で用いられるBT.709(Rec.709)よりも大幅に広い色域をカバーしています。 |
■色域の違い(イメージ図)
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⑤「輝度」 = 映像の明るさ
輝度とは、表現できる明るさの範囲を指します。一般に、人間の目が知覚できる明るさの範囲(ダイナミックレンジ)は1012と言われていますが、従来の表示機器は103までの範囲しか表示できませんでした。しかし、HDRによってダイナミックレンジを広げることで、105、つまり従来の100倍もの明るさを捉えることが可能になり、肉眼で見る景色に近い陰影を映し出せます。
さまざまなダイナミックレンジ(イメージ図) |
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