地球

社外取締役のメッセージ

3名の社外取締役に、当社の社外取締役としての取組みや、意見・提言、今後の抱負などを聞きました。
※統合報告書2024より

当社の強みを活かしたビジネスモデルの確立を

2年前、2022年に当社の社外取締役・監査等委員に選任され、2024年の株主総会をもって監査等委員会委員長に就任しました。監査等委員会の役割を改めてしっかりと認識し、職責を果たしていきたいと思っています。そのためにも、当社の事業、組織、風土をより深く理解して、的外れではないしっかりとしたモニタリング、監査を行いたいと考えています。また、私を含め3名の社外監査等委員が、自身の知識・経験を踏まえた当社の企業力・業績向上のための提言をこれまで以上に行っていくことができる監査等委員会にするよう努めていきます。
当社の取締役会にこれまで出席してきて、実盛会長がリーダーシップを発揮する中で、社内外の取締役がそれぞれ自分の意見を述べ、それが尊重される、という雰囲気を感じています。具体的には、各々の取締役の発言内容をきちんと受け入れて、違うところがあれば違うと議論する、そのような自由闊達に意見を交わせるベースが当社の取締役会にはあると思います。今後も従来通り、こうした雰囲気の中で議論を進めていければいいと思っています。
この2年間、当社について色々と勉強してきました。今の当社は、これまでの新規市場への参入と各市場における順調な成長、M&Aの成功等の拡大期を終えて、安定期にあるのではと考えています。コア事業であるヘルスケアやV&S等の映像市場への展開を軸に、新しい事業・製品がしっかりと安定期に入りつつあり、事業間のシナジーも具体的に出てきている。全体のビジネスモデルとして安定してきているという印象です。ですから、今は成長のための大改革を行うよりは、現状の良いところを安定させて次の成長に備える時期と捉えています。今後は、既存の事業のプラスアルファの安定成長に加えて、たとえば十年後何をやるのか、どこを向いてやっていくのか、という、次世代の事業に関する議論というのが必要になってくるでしょう。技術力がある会社なので、その技術力を武器にして将来の成長のための新しいアイデアが出てくれば良いと思います。
第8次中期経営計画は、メッセージ性があってとても分かりやすいという印象を持ちました。当社の強みをしっかり伸ばす内容になっていると思います。まずは、この中期経営計画に示された戦略でもって強みを活かしたビジネスモデルを確立し、その先を皆で考えていくことができれば、より魅力のある強固な会社になっていくのではないかと思っています。    
井上 亨 顔写真

井上 亨

筆頭独立社外取締役

事業法人の経営者として長年にわたり事業運営、企画、経理の業務に携わり、豊富な経験と実績を有している。また、エレクトロニクス業界で長年培った幅広い見識を活かし、当社の企業価値向上に貢献している。

取締役会を今まで以上にボトムアップ型の議論の場に

当社のサステナビリティ、地域貢献に関しては、サステナビリティ委員会で十分に議論された内容が取締役会に上程されて、承認されるプロセスを踏んでおり、これまでの取組みは上場会社の水準としては本当にふさわしいレベルだと思っています。一方で、女性社員の管理職、経営層への登用に関しては、当社はまだ道半ばにありますが、時代の要請として、これは待ったなしの課題ですから、段階を踏みながら着実に進めていく必要があります。女性社員の場合は、やはり出産や子育てなどによって男性社員とまったく同じ立ち位置での働き方というわけにはいかないと思いますので、その点を含めて会社としてどうサポートしていくのか、男性社員もどのように働き方を変えていくのかなど、様々な検討を今後行っていくことになるかと思います。
4月から新しい経営体制になり、自由闊達な企業風土をより一層高めるために、社外取締役である我々は何ができるかということを考えていきたいと思っています。少なくとも取締役会においては、執行役員も全員がオブザーバー参加していますので、今まで以上にボトムアップ型の議論をする場となるよう働きかけていきたいと思っています。当社には、これまで大胆に変革を行ってきた歴史があります。そうした変革を企業成長への活力にしてきた会社ですから、現状のビジネスモデルを超えたところの議論もしていければと考えています。
コーポレート・ガバナンスにおいて危機管理対応は非常に重要です。大きな不祥事が過去にない当社には、万が一不祥事が起こったときに迅速に対応できる力が本当にあるのだろうか、という点は検証が必要だと認識しています。不祥事というのは、それが収束したとしても、リスクとしては長く続くわけですから、会社のコンプライアンス体制・リスクマネジメント体制の見直しや、海外グループ会社への定期的な目配りや牽制機能の必要性については今後も随時意見していきたいと考えています。
当社は、昨年度に株主還元強化という形で大幅な配当アップをしました。これも広い目で見ればROE対策ですが、欧州市場が停滞している状況では、まずは業績・収益力の回復が最優先の検討課題かと思います。一方で、上場企業としてROEやPBRなどの経営指標の議論は避けられない環境下となっていますので、やはり具体策の目標設定と時間軸、この辺りの議論については引き続き提案していきたいと思っています。
滝野 弘二 顔写真

滝野 弘二

独立社外取締役

金融機関でのマネジメントを経て、事業法人の経営に携わる。ステークホルダーの目線で幅広い観点から当社経営に有益な助言を行っている。

多くの女性社員が活躍する会社になることを期待

2022年に当社取締役に就任してからの2年間、日々勉強の毎日を過ごしています。取締役会前に議題の資料を事前に送っていただき、また、経営会議の議事録や資料もすべて見せていただくことで、取締役会の議題となる前に社内でどういう議論があったか、今後はどういう方向へ進んでいくのか、という経営全体の方向性がよく分かるようになりました。
特に、ジェンダーやダイバーシティの観点では、当社の女性活躍の取組みについて人事部長より説明を受けるなど、この2年間で大変理解が進みました。当社には、管理職になる一歩手前の優秀な女性社員が多くいます。その方々に今後どうやって伸びていっていただくかという点がとても重要だと思っています。具体的には、その方々に前向きな気持ちを持っていただくこと、また、彼女たちの直属の上司の方々がリーダーシップを発揮して、会社の将来について語り、どのような管理職になってもらいたいかということを彼女たちにしっかりと伝えることが大切です。そして、このベースとなるのが職場での密なコミュニケーションだと考えています。私にも経験がありますが、一人がくじけてしまったときに周囲がフォローするなど、一人が抱える問題を皆で解決しよう、お互いに支え合おうという職場の雰囲気は、会社における自分の在り方に不安・疑問を抱く女性社員に安心と勇気を与えます。そうした雰囲気が各部署で根付き、多くの女性社員が活躍する会社になることを本当に期待しています。
当社は、グローバル展開にあたっては、自分たちで考えた計画に従って、ジェトロなどの公的機関を活用しながら、しっかりと体制を整えていく会社だという印象をもっています。今後もまた色々な地域展開があれば、私の前職のジェトロでの経験やネットワークを踏まえてご支援していきたいと思っています。
サステナビリティについては、環境に配慮した新技術棟も建設中で、環境先進企業であると感じます。能登半島地震での当社の初動対応は素晴らしかったですし、被災地の学校に当社モニターを提供したことをはじめ、地域貢献についてもしっかり考えている会社であると考えています。
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大砂 雅子

独立社外取締役

日本貿易振興機構(ジェトロ)に長年勤務し、現在は金沢工業大学の産学連携室の教授として幅広く活躍している。これらの豊富な経験と国際経済を中心とした高度な専門性を有していることから、取締役会の意思決定の適正性を確保するために、適切な助言・監督をしている。