低炭素移行計画 -Transition to Net Zero-
はじめに
当社は2021年度、サステナビリティの観点からマテリアリティを特定しました。その中でも「循環型社会への対応」「気候変動への対応」「サプライチェーンマネジメント」を環境に関連した当社の重要な経営課題として据え、自社の製品・サービスのみならず事業活動全体におけるGHG排出削減目標を策定し、目標の達成に取組んでいます。
また2022年5月にTCFDの開示フレームワークに沿ってシナリオ分析を行い、当社事業が気候変動によって直面するリスク・機会を特定し開示しています。さらに2022年7月には科学的に整合の取れたGHG削減目標としてSBTiの認定を受け、シナリオ分析によって特定したリスク・機会への対応として、気温上昇が産業革命以前と比べて1.5℃を十分に下回るための精力的な削減目標を設定する重要性を強く認識し、このたび「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」を策定いたしました。この計画の中で、既存の取組みや今後の計画を整理するとともに、2040年のNet Zeroを達成すべく、バリューチェーン全体で低炭素社会の実現に取組んでまいります。
当社は世界130か国以上にグローバルに製品・サービスを提供しています。また調達においてもグローバルサプライチェーンを構築しています。よって当社の国内外の事業活動全体におけるScope1、2、3のGHG排出削減にグローバルに取組んでまいります。
EIZOグループのGHG排出削減目標
- 2030年度
- Scope1、2のGHG排出量を70%削減 (2019年比)
Scope3のGHG排出量を27.5%削減 (2019年比) - 2040年度
- Scope1、2のGHG排出量をNet Zeroにする
Scope3のGHG排出量をステークホルダーと連携しNet Zeroを目指す
当社GHGの排出状況
当社バリューチェーンと関連するGHGの区分は以下の通りです。自社の排出(Scope1、2)のみならず、バリューチェーン上の全ての排出(Scope 3)において、積極的な低減の取組みを進めます。
EIZOグループでは、電子回路基板の製造は日本、ドイツにて、完成品の組立は日本、ドイツ、中国で行われており、基板の製造から完成品の組立・検査まで、一貫してグループ内で製造しています。基板製造、完成品の組立においては、Scope1及びScope2に含まれる燃料及びエネルギー活動で顕著なものはなく、結果としてScope3の排出量が全体の99%を占めています。
スコープ別GHG排出量(2023年度)
Scope3におけるCategory毎の排出量内訳は以下の通りです。Category1とCategory11がScope3全体の93.0%を占めています。
Scope3におけるCategory別GHG排出量(2023年度)
バリューチェーンにおける取組み内容
Scope3の削減に向けて
当社の掲げるScope3のCategory毎の削減目標は以下の通りです。
Category | 削減値 | 達成目標 | 備考 |
---|---|---|---|
Category1 | ▲27.5% | 2030年度 | SBT認定目標 |
Category11 | |||
Category4 | ▲25.0% | 当社独自の目標 | |
Category12 |
C1:購入した製品、サービス C11:販売した製品の使用 C4:輸送、配送 C12:販売した製品の廃棄
Scope3 Net Zeroロードマップ
Scope3のGHG排出削減目標に向けたロードマップは以下の通りです。
Category毎の削減に向けた具体的な取組み内容は以下の通りです。
※EPEAT基準による
Category1:購入した製品、サービス Category11:販売した製品の使用 Category4:輸送、配送
Category1の削減計画
- サプライヤーエンゲージメントによるGHG排出量調査実施と削減の依頼
- GHG排出量に応じて分類し、各々に調査を実施
- SBT認定の取得を推進し、サプライチェーン全体での削減を目指す
- サプライヤーでの毎年のGHG削減結果を反映したCategory1の算出
- 低環境負荷材料(グリーンマテリアル)の採用
Category11の削減計画
- 表示システムや独自省電力機能開発による、消費電力の更なる削減
- 表示システム(表示回路、電源回路等)の省電力設計を極限まで追求
- 搭載する各デバイスを見直し、より省電力なシステム構成の実現
- 当社独自の省電力機能で最適表示と省電力を両立し、継続的な性能向上を図る
Category4の削減計画
- 軽量化・小型化(グリーンデザイン)の進化
- 輸送・配送効率が高く、廃棄もしやすい梱包形
- 製品積載効率の向上
- 遠地への輸送は鉄道への切替えなどモーダルシフトを推進
Category12の削減計画
- 低環境負荷材料(グリーンマテリアル)の採用
- 廃棄時のリサイクル性も考慮した素材の採用、リサイクルしやすい構造の実現
顧客とのエンゲージメント向上に向けて
カーボンフットプリント(以下、CFP)の算定と公開
CFPの算定により、製品ライフサイクルであるバリューチェーン上流の排出~製造~輸送~使用~廃棄に至る一連のGHG排出割合が明らかになり、関連するCategory(1,4,11,12)毎の削減目標を明確にすることが可能となります。CFP算定によりGHGの見える化を行うことにより、顧客とのエンゲージメント向上に繋げていきます。
またCFPに基づいたカーボンオフセット付き商品の提供を開始します。
環境配慮型ブースの導入
主要展示会における「環境配慮型ブース」の導入を進めるとともに、GHG排出量のカーボンオフセットに取組みます。
Scope1、2の削減に向けて
Scope1、2 Net Zeroロードマップ
Scope1、2のGHG排出削減目標に向けたロードマップおよび排出量実績は以下の通りです。
2023年度のScope1,2の排出量は、Scope1:781t-CO₂e、Scope2:2,685t-CO₂eであり、前年度に比べ17%(710t-CO₂e)減少しました。
2024年1月より、国内工場の購入電力に占める再エネ比率を50%から100%へ引き上げたこと等によるものです。
再生可能エネルギー電力導入計画
2040年に向け、再生可能エネルギー電力の導入率100%を目指します。
※2023年度の再生可能エネルギー電力の導入比率:48.4%(海外含む)
Scope1、2の削減計画
- 2022年 本社物流棟の太陽光導入
- 2023年 ドイツグループ会社の太陽光導入
- 2024年 国内工場の再エネ100%
- 羽咋工場の太陽光導入
- 本社新棟の太陽光導入
- 2026年 本社空調の熱源電化
- 2026年 本社駐車場の太陽光導入
- ~2030年 国内拠点の再エネ化
- ~2030年 社有車のEV化
- ~2040年 海外グループ会社ガス・熱の再エネ
2030年までの環境関連投資予定額:3,000M円
設備投資実績例:太陽光発電設備導入
ガバナンスとの関係性
サステナビリティ・マネジメント体制において、気候変動に関連する課題についてはサステナビリティ委員会の下部に位置する気候変動対策分科会にて検討を行っています。当低炭素移行計画についても、サステナビリティ委員会にて審議を行った後取締役会に報告され、以降は取締役会で進捗状況をモニタリングし、監督します。
サステナビリティ・マネジメント体制
気候変動に関連するリスク管理プロセスと低炭素移行計画の関連性は以下の通りです。