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新たなHDR国際規格BT.2100
2016年7月、HDRの国際規格「ITU-R BT.2100」が制定されました。これにより、コンテンツ制作・伝送の基準が定まったため、今後さらにHDRの普及が加速していくことが期待されます。
下図の通り、前ページで紹介した5つの要素が、現行フルHD規格であるBT.709から徐々に進化しているのが分かります。BT.2020とBT.2100はほぼ同等の内容ですが、表現できるダイナミックレンジが異なります。
■HDR国際規格
BT.709 現行のフルHD |
BT.2020 4K/8K |
BT.2100 4K/8K、HDR |
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解像度 | フルHD | 4K、8K | HD、4K、8K |
ビット深度 | 8-bit | 10または12-bit | 10または12-bit |
フレームレート | 最大60p | 最大120p | 最大120p |
色域 | BT.709 | BT.2020 | BT.2020 |
輝度(ダイナミックレンジ) | SDR | SDR | HDR |
■見え方のイメージ |
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SDR |
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2つのガンマカーブ
HDR映像を正しく表示するためには、単純に輝度を上げるだけではなく、人間の視覚特性に合わせた「色」と「階調」を表現することが重要です。この色と階調を左右するものに、入出力装置それぞれが持つ入出力特性「ガンマ(EOTF)」があります。
「BT.2100」では、制作用の規格として用途に合わせた2つのガンマカーブが制定されています。
<Web配信、映画コンテンツ向け>
PQ方式(Perceptual Quantization)
<テレビ放送番組向け>
HLG(ハイブリッドログガンマ)方式(Hybrid Log Gamma)
PQ方式は、人間の視覚特性に合わせたガンマ(EOTF)で、再現性が重視される映画やWeb配信コンテンツ制作に適しています。
一方、HLG方式は、従来のSDRテレビでも違和感なく表示できることを重視するため、テレビ放送やライブ中継に適しています。
■HDR PQ方式、HLG方式の特長
PQ (Perceptual Quantization) | HLG (Hybrid Log Gamma) | ||
---|---|---|---|
用途 | Web配信、映画 | 放送、ライブ中継 | |
特長 | 人間の視覚特性に基づく新たなガンマカーブ | SDRテレビと互換性のあるガンマカーブ | |
輝度値の扱い |
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相対値で扱うため、表示デバイスによって変動 | |
黒レベル | 0.005cd/m2以下 | 0.005cd/m2以下 | |
提案団体 | Dolby | BBC/NHK | |
関連規格 | SMPTE ST 2084、ITU-R BT.2100 | ITU-R BT.2100 | |
互換性 | 人間の視覚特性に近い見え方 | ◎ | ○ |
SDRテレビでの見え方 | × | △ | |
Live放送 | △ | ◎ |
下図は、HDR PQ方式、HLG方式のガンマカーブを図式化したものです。
PQ方式の場合、ピーク輝度は10000cd/m2と規定されており、表示デバイスで再現できる輝度までは常に同じガンマカーブを描くので、表示デバイスの最大輝度までの階調領域においては、正確に再現した映像を楽しめます。
一方、HLG方式の場合、ピーク輝度は表示機器の最大輝度と一致します。つまり、表示機器側の最大輝度に依存してガンマカーブが変化するため、従来のSDRテレビに表示した場合でも大きく画崩れすることなく、HDR映像を堪能できます。
■HDR PQ方式、HLG方式ガンマカーブの違い |
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