立命館大学の映像学部は、日本で初めて映像にかかわる領域を包括的に教育・研究する学部として2007年に設立されました。また、2024年には京都の衣笠キャンパスから大阪いばらきキャンパスに移転し、関西の映像コミュニティを牽引しながら、そのネットワークをアジアへ、世界へとグローバルに拡張していくことを試みています。
このたび、映像学部の実習室と編集室に、31.1型HDRリファレンスモニター「ColorEdge PROMINENCE CG3146」を1台、27型4Kカラーマネージメントモニター「ColorEdge CG2700X」を39台、作業用モニターとして27型液晶モニター「FlexScan EV2795」を40台導入いただきました。導入の経緯や導入後の使用感に関して、ご担当者に伺いました。 |
立命館大学 映像学部 映像学科 准教授 山本 浩史 氏 |
今回導入いただいたEIZOモニターの用途について教えてください。
映像学部は、2024年の大阪いばらきキャンパスの新校舎への移転に伴い、大人数で映像編集の実習や講義を行う映像編集実習室のほか、個人が集中して編集作業に集中できる編集室、制作した映像の最終の色確認を行うスクリーニングルームを新設しました。映像学部では、映像制作の基礎を学ぶ実習から、専門的かつ実践的な映像編集を学ぶ授業までカリキュラムを幅広く用意しています。どの学習においても、色を正しく表示できるカラーマネージメントモニターの存在は不可欠でしたので、今回のモニター導入に至りました。
HDRに対応した27型4KのCG2700Xは、映像編集実習室と編集室に、映像のプレビュー用モニターとして導入しました。現状、実習でHDR制作は扱っていませんが、昨今の映像制作業界の制作状況を考慮すると、将来的に扱う可能性は十分考えられますので、CG2700Xは将来も見越した先行投資として選定しました。HDRリファレンスモニターのCG3146は色の最終確認を行うスクリーニングルームに導入しました。また、27型液晶モニターのEV2795はColorEdgeの隣に配置し、映像編集ソフトウェアを操作する作業用モニターとして導入しています。
<EIZOモニターの導入箇所>
①映像編集実習室
大人数の制作実習や講義に使用する実習室です。CG2700XとEV2795をそれぞれ31台導入しています。
②編集室
集中して編集作業ができる環境。全8室あり、1室にCG2700XとEV2795を1台ずつ導入しています。個人や少人数グループでの制作に活用されています。
③スクリーニングルーム
シネマプロジェクターによる上映ができる試写室です。CG3146とEV2795を1台ずつ導入しており、映像をスクリーンに映しながら編集やカラーグレーディングを行うことができます。実習や課題で制作した映像の最終確認や色調整に活用しています。
導入の経緯を教えてください。
映像学部が移転する前のキャンパスである衣笠キャンパスで、2018年から31.1型4KのCG319Xを3台活用しており、その高い品質には信頼を寄せていました。CG319Xはキャリブレーションセンサーが内蔵されていて、画面の調整に対してナーバスになることはなく、モニターの表示を信頼して作業に集中することができます。CG319Xは導入から6年ほど経過し、大阪いばらきキャンパスに移転後も使用していますが、これまで故障したことがありません。ColorEdgeはキャリブレーションを手間なく正確に行える点や画質性能の高さ、製品の信頼性を評価しており、他の放送機材メーカーのモニターと比べてもコストパフォーマンスの良さを感じていました。
また、私自身映像制作業界で長く活動していたキャリアからも、ColorEdgeは映像制作における業界標準のモニターとして確固たるポジションを築いていると感じています。学生にはプロの現場と同じ環境で学んでもらいたいという意識が大学内で共有されており、今回のEIZOモニター80台の導入に至りました。ColorEdgeは、CG319Xと同様、キャリブレーションセンサーを内蔵したCG3146とCG2700Xを選定しています。また、映像編集ソフトウェアを操作する作業用モニターとして27型のEV2795を選定しました。作業用モニターは必ずしもカラーマネージメントに対応している必要はなく、他社製のモニターでも問題ありませんが、製品の高い品質を信頼して作業用モニターもEIZOを選定しています。
EIZOモニターの使用感について教えてください。
CG2700Xは、画質や性能の面において他のモニターに比べて優れている印象です。内蔵キャリブレーションセンサーによって、シンプルな工程で正確に画面を調整できることはもちろん、表示できるカラーモードも充実しており、モニター前面のボタンで簡単に切替えられるので使いやすいです。また、遮光フードが標準で付属している点も嬉しいです。実習室では講義の進行に支障がでてしまうので、照明を完全に落とすことは難しいですが、遮光フードがあることで照明を点けながら光の映り込みを効果的に防ぐことができます。
CG3146は、最終の色確認を行うリファレンスモニターとして高い画質性能を感じており、特に高コントラスト比による黒のしまりの良さを実感しています。コストパフォーマンスも他社製のリファレンスモニターより良い印象です。学生たちは卒業研究として制作した作品をCG3146で最終確認することを非常に楽しみにしています。
EV2795は、映像編集ソフトウェアを27型の大画面に広々と表示できるので、編集作業を効率的に行えます。長時間の編集作業にも嬉しい目にやさしい機能も充実しており、作業用モニターとして十分な性能を備えていると感じています。
今回FlexScanモニター40台を、複数のモニターを一つの箱にまとめる集合梱包にて納品いただきました。
納品時に感じられたメリットについて教えてください。
映像学部が新校舎に移転してから授業が始まるまで、日数にあまり猶予がなく、短期間で機材の搬入から設置作業まで行う必要がありました。今回ご提案いただいた集合梱包仕様は複数のモニターを一つの箱にまとめて納品できるので、効率よく搬入できただけではなく、開梱作業や梱包箱の解体作業が少なくなり、工数削減に繋がりました。 |
集合梱包仕様の詳細はこちら(ニュースリリースへ)
今後の展望や当社に対するご要望があれば教えてください。
映像、特に映画の制作においては、最後のカラーグレーディングは非常に大事な工程です。そしてカラーグレーディング作業の前提として、モニターを正しく表示できているかという観点も非常に重要です。この重要性は生徒に学んでもらい、制作に活かしてもらいたいと考えていますので、モニターの調整方法やカラーモードの設定方法なども今後の講義で扱う予定です。
映像学部ではEIZOモニターを正しい色表示ができる業界標準のモニターとして使用していますので、今後も魅力的で信頼性のある製品開発を継続いただきたいです。将来的には実習室や編集室にもリファレンスモニターがある状態が理想で、性能とコストの面でCG3146とCG2700Xの間に位置するような製品がColorEdgeのラインナップにあると嬉しいですね。また、製品だけではなく導入までのサポートにも期待しています。
■ご協力 立命館大学 映像学部 ホームページ:https://www.ritsumei.ac.jp/cias/ |
導入製品
- ColorEdge PROMINENCE CG3146 ×1台(後継機種:ColorEdge PROMINENCE CG1)
- ColorEdge CG2700X ×39台
- FlexScan EV2795 ×40台