作品づくりにおいて大切にしていることを教えてください。
一番こだわりをもっているのは色と質感です。
デジタルで作品を作る場合、色を何度も調整できるので、絵が完成したと思っても、まだいい色にできるのではないかと常に考えています。そうして調整しているうちに、自分がはっとするような、当初の計画になかった作品が生まれたときに嬉しくなります。もともと絵具を使って絵を描いていた自分にとっては、Adobe Photoshopでの色調整は、今ではなくてはならない機能です。
一方で、絵具独特のにじみや偶然性は僕にとって非常に魅力的で、初めてデジタルで絵を描いたときは物足りなさを感じました。どこまでも一定にむらなく描けるということは非常に便利ですが、自分にとっての絵の楽しさというのは、絵具が生み出す偶然性でした。
ですので、「いかに必然だったかのように偶然性をコントロールして絵を描くことができるのか」というのがデジタルで絵を描く上での課題でしたし、面白さでもありました。
お仕事で絵のご依頼いただく場合は、登場させなければならないモチーフが必ずあるので、そこを避けながらどこに偶然性を作って共存させていくのかということを毎回考えながら絵を描いています。
結果的に、依頼内容によって変わるモチーフや人物の仕草や表情や場所よりも、色と質感を大切にしているのだと思います。
作品はどのような形態で発表されていますか?(Webサイト掲載、商用印刷、自宅プリントなど)
最近ではツイッターやインスタグラムに載せることが増えました。
年に一度展示をするのですが、その場合はアクリルフォトという方法で展示します。
昔は和紙に印刷したり質感のある紙に印刷する事を考えていましたが、画面の中に質感を作り出してしまっているので、質感の出る紙に印刷した場合、喧嘩することがあります。その喧嘩を防ぐために、光沢紙に印刷し、アクリルで綴じ、まるでディスプレイで絵を見ているように感じさせる方法で展示しています。
ColorEdge導入のきっかけを教えてください。
イラストレーターとして絵を描いて食べていきたいと思った瞬間からでした。
仕事で絵を描き、報酬をいただく以上、作品の保証は必ず作家が負うべきなので、一番重要な色への保証を怠ってしまっては、自信をもって世に送り出すことはできないと思いました。色というのは作品のクオリティに直結することでもあります。
たとえ作品を作る技術が未熟だとしても、その時すぐにどうこうできることではありませんが、ColorEdgeを導入するだけで色の保証ができるのであれば決して高価ではありません。
色の保証をしっかりとして、上手くなりたいと思いながら作品を作る事が、当時の自分にとっては重要なことだったと思います。
ColorEdgeの使用感を教えてください。
非常に使いやすいです。色の調整も寝る前に行うだけでいいですし、ソフトの操作も簡単でした。
購入当時は調整方法がわからなかったのですが、2014年ごろに、前回のEIZO主催イラストコンテスト審査員である、pomodorosaさんとEIZOでイラストレーター向けのカラーマネージメント講座がタイミングよく開催されました。そこに参加して、色々とメモを取って帰り、家で設定を見直しました。
当時の様子はこちら【EIZO×MdN特別セミナー イラストレーター必見!初めてのカラーマネージメント講座実施レポート】
タブレットはどのような製品をお使いですか?モニターとタブレットを組み合わせた環境は、どのようなメリットがありますか?
タブレットはワコムのCintiq 27QHDを使っています。
MdNさんからのお仕事で1か月使用させていただいたのがきっかけでした。液晶タブレットで絵を描く場合、どうしてもタブレットのモニターを見る時間の方が長くなるのでタブレットの色への安心感が必要になります。最初は色の設定に苦労しましたが、液晶タブレットのキャリブレーションを行うことで、問題なく作業を行えるようになりました。液晶タブレットで簡易的に色を確認し、最終的に色を追い込むフローでColorEdgeを愛用しています。
キャリブレーションの大切さに気が付けたのは、やはりColorEdgeが手元にあったからなのですが、作業時にどんなモニターで作業をしても、最後に必ずColorEdgeで色を確認できる環境には強い安心感があります。持っていて損することは絶対にないと断言できます。
モニターをキャリブレーションセンサーで測定し、目標値に沿って画面表示されるよう表示調整を行うこと。液晶モニターは使い続けると明るさや色味が経時変化するため、定期的な表示調整が必要になります。
ColorEdge専用のソフトウェアColorNavigatorのキャリブレーションは、キャリブレーションセンサーを使ってパソコンの出力信号を触らずに、直接モニターの表示を調整する「ハードウェア・キャリブレーション」です。データそのものの階調を犠牲にすることなく、より短時間で精度の高い調整ができます。
キャリブレーションが必要な理由はこちら
「ハードウェア・キャリブレーション」と「ソフトウェア・キャリブレーション」の違いはこちら
げみ氏 略歴
1989年兵庫県三田市生まれ。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動を開始。 数多くの書籍の装画を担当し、幅広い世代から支持を得ている。 著書に『蜜柑』(芥川龍之介+げみ)、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)、『春の旅人』(村山早紀+げみ)、『トロイメライ』(村山早紀+げみ)、『げみ作品集』がある。 Twitter https://twitter.com/gemi333 ホームページ http://gemi333.com/ |
導入製品
- ColorEdge CX240-CNX
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