全国66のグループ病院2794台のモニターを
EIZOの品質管理ソリューションで一括管理
徳洲会グループは、2024年10月現在、全国に77病院を有する日本最大の医療グループです。グループ内で稼働している2794台の医用画像表示モニターを一括管理するため、2024年4月に医療機関グループ向けネットワーク品質管理ソリューションを導入されました。鎌ケ谷総合病院に所属し、徳洲会グループの全国放射線技師部会で顧問を務める服部 篤彦 診療放射線技師に使用感について伺いました。
放射線技師部会の主な業務を教えてください
関東にいながら離島のモニターも品質管理
2024年10月現在、全国の徳洲会グループ病院66施設で稼働している2794台の医用画像表示モニター「RadiForce」を、医療機関グループ向けネットワーク品質管理ソリューション「RadiNET Pro Enterprise」に接続して、集中管理できるようにしています。 今は「RadiNET Pro Enterprise」を導入してそれほど間がないため、放射線技師部会に所属する私が全体管理者として、1か月ごとに全国のモニターをチェックし、「RadiNET Pro Enterprise」の品質管理機能をうまく使いこなせていない施設管理者に対して使用方法をアドバイスするなどして、品質管理を徹底するよう指導しています。関東にある鎌ケ谷総合病院にいながら、石垣島など医療スタッフが少ない離島のモニターも操作・管理できる環境を構築でき、とても満足しています。 |
鎌ケ谷総合病院 放射線科 診療放射線技師 |
導入の経緯について教えてください
管理者としてモニター品質管理の重要性を伝え続ける
2016年から放射線技師部会として全国のグループ病院に対して、医用画像表示モニターの品質管理の重要性を伝えつつ、品質管理の実践を指導してきました。しかしながら現場では普段の業務に追われて、外付けキャリブレーションセンサーを購入したにも関わらず、モニターの管理をなかなか徹底できない病院がありました。また、実践しているかどうかを直接把握することもできませんでした。
さらに放射線科の診療放射線技師が導入に関与せずに医療情報課のシステムエンジニア(SE)が購入するモニターについては、その存在も十分に把握できず、全体の資産管理も行き届いていない状況でした。
これらをオープンにして見える化するために、当初、EIZOの単一施設で使用する品質管理ソリューション「RadiNET Pro」の採用を検討しました。しかし、モニターを10台程度しか使用していない施設などに採用するにはコスト面で厳しく、また当時はキャリブレーションセンサーを内蔵していないモニターが多かったこともあり、見送った経緯があります。
その後、単一施設用ではなく、全国の施設を集中管理できる医療機関グループ向けネットワーク品質管理ソリューション「RadiNET Pro Enterprise」の提案をうけ、要望にマッチしたソリューションであったため採用する流れとなりました。
導入においては放射線部門と情報システム部門がそれぞれの役割を決め、密に連携することで全国施設へのフォローもスムーズに対応することができました。今回のRadiNET Pro Enterprise導入を通じ、グループ病院全体の総合力をさらに高める事ができたといえます。
RadiNET Pro Enterpriseの使用状況について教えてください
全グループ病院の資産管理と品質管理の見える化
「RadiNET Pro Enterprise」で、各施設のモニター機種、使用時間、品質管理の実施有無、モニターの輝度設定などを閲覧でき、理想としながらもこれまでできなかった、資産管理と品質管理がきちんと行き届いているかが一目で分かるようになりました。
病院ごと、地域・ブロックごとに資産状況や品質状態が一覧確認でき、さらに情報をCSVファイル形式で出力することも可能なので、管理状況を簡単にまとめることができるようになりました。
(写真は一部加工しています)
その結果、予想以上に古いモニターや、輝度の低下しているモニターが現場で使われている実態が分かりました。現在、古いモニターについては、年に2回の不変性試験を行うよう各病院に指導しています。また、不変性試験不合格となったモニターを廃棄と判断するケースもあったため、下がった輝度をキャリブレーションして元の輝度値に戻せるモニターは継続利用し、元に戻せないモニターは買替えの予算を検討するようアドバイスしています。それ以外でも、環境光の影響により不合格になったと推測される結果も見られ、それを確かめるために夜間に測定試験を実施してもらい、影響が確認できた際には環境光の最適化を検討してもらうようアドバイスしました。
一括リモート設定でグループポリシー適用
グループ内で定めたモニター/品質管理ソフトウェアの設定内容「グループポリシー」を、病院ごと、あるいは部屋ごとに、一括リモート設定できるようになりました。現在下記内容を「グループポリシー」として一括設定しています。
→ 使用しないモニターの電源を落とすことで省エネに役立てています。
・画像参照用のモニターについては標準輝度を決め、運用を徹底する
→ 運用輝度を実使用上問題の無い範囲で下げることでモニターの長寿命化に役立てています。
・スケジュール設定で半年に一度、モニターの内蔵センサーを使って測定試験を自動的に実施
→ 品質管理試験の効率化と作業工数の削減に役立てています。
「RadiNET Pro Enterprise」は、放射線部会の全体、地域ブロックごと、あるいは施設ごとにアクセス可否などの権限を設定できます。個々の施設の医療スタッフの業務負荷によっては、地域ブロック内で近隣の別施設管理者が代わりに遠隔で管理することが可能になりました。
グループの品質管理権限の構成
グループの総合力で導入を後押し
全モニターの一括管理には、モニターが接続する約2500台のPCにモニター品質管理ソフトウェア「RadiCS」のインストールが必要です。これを迅速、確実かつ省力に行うため、グループ内のSEで組織する情報システム部会が、インストール・プログラムや対応マニュアルを作成し、各病院の作業負担を軽減しました。
放射線技師部会だけでは対応できなかったことを情報システム部会の協力のもと実現できたことは、グループ全体の連携と総合力の結晶であると感じております。
導入後の感触について教えてください
モニター品質管理実践へのマインドチェンジ
RadiNET Pro Enterpriseの運用はまだ始まったばかりですが、まずは全国のグループ病院で品質管理がスムーズに浸透していなかった実態が浮き彫りになりました。ここが見える化されたことで、現場レベルで品質管理をきちんと行わなければならない、と現場のマインドが大きく変わったと思います。
現在は主に私が全国のモニターの確認を行い、また品質管理を徹底するため、放射線技師部会は全国の診療放射線技師長に対して、モニター品質管理とRadiNET Pro Enterpriseの活用方法についてレクチャーなどを行ってきましたが、今後は放射線技師部会の執行部が中心となってチームで管理・指導できるよう体制を強化し、品質管理をしっかり根付かせていきたいと考えています。 徳洲会グループは「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指しています。この理念に沿うためには、医療スタッフが多い大都市病院や、少ない離島の病院であっても、医用画像を映す医用画像表示モニターの質にばらつきがあってはならないと考えています。 RadiNET Pro Enterpriseを導入することによって、現場のモニターの品質管理に関する意識が高まり、放射線技師部会チームで全国のモニターを管理する環境が整いました。医療の質をさらに向上させることに繋がる大きな一歩を踏み出せたのではないかと思います。 |
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ご協力
医療法人 徳洲会 鎌ケ谷総合病院
徳洲会インフォメーションシステム株式会社 |
医療法人 徳洲会 鎌ケ谷総合病院 |
導入製品
- 医療機関グループ向けネットワーク品質管理ソリューション RadiNET Pro Enterprise
- モニター品質管理ソフトウェア RadiCS
- 医用画像表示モニター RadiForce