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クリエイティブ

株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム 様

映画『すずめの戸締まり』の制作においてColorEdgeを活用

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新海 誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』は、2022年11月に公開され、観客動員数1100万人を超える大ヒット作品となりました。

その制作会社である株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム(以降、CWFと記載)は、かねてよりEIZOモニターを使って作品を制作してきましたが、今作『すずめの戸締まり』においては、カラーマネージメントモニターColorEdgeを追加導入され、ネットワークでのモニター管理を新たに運用開始されました。

 
映画『すずめの戸締まり』
公式Webサイト:https://suzume-tojimari-movie.jp/

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

新海 誠監督作品の世界観を創り上げるために重要な、制作における「色」の管理について、その責任を担う都川 眞栄 氏にお話を伺いました。

cwfilms-suzume_img02   株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム
システム管理部
都川 眞栄(みやこがわ まさひで) 氏

 

今作の制作を始めるにあたり、ColorEdgeを追加導入された経緯、理由を教えてください。

今回のColorEdge導入の目的は、色に携わる一握りのメンバーだけではなく、デジタル作業を行う全員が見ている色を統一し、かつその色が正しい環境を構築することでした。

<CWFでのEIZO製品採用実績>
2016年公開の『君の名は。』で、特に色が重要になる業務に携わる色彩設計などのメンバーのリファレンスモニターにColorEdge CG277を採用し、色管理をスタート。

2019年公開の『天気の子』では、それ以外のスタッフに27型サイズを中心にEIZOのスタンダードモニターFlexScanを多数導入。モニターの色調整は、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス(以降、Imagica EMSと記載)が担い、作品に合わせて同社で調整したものを使用。

『天気の子』でのColorEdge導入事例はこちら

 

『天気の子』の制作が終わった後、EIZO様主催のカラーマネージメントセミナーに参加しました。その際に、DCI-P3色域やsRGBの違いなどの知識、広色域モニターの必要性を学び、FlexScanなどの非カラーマネージメントモニターをキャリブレーションする時に用いる「ソフトウェア・キャリブレーション」とColorEdgeなどのカラーマネージメントモニターで実施できる「ハードウェア・キャリブレーション」の違いを認識しました。

それまでのスタッフの制作環境は、Imagica EMSにて調整済みのFlexScanを使用することで統一を図ってきましたが、長期にわたる制作期間における発色の経年変化や、Display P3色域を持つAppleモニターを使用する新海監督とsRGB相当の色域のFlexScanでの見え方の差異などにおいて安心できる環境とは言い切れませんでした。

そこで、『すずめの戸締まり』の制作が始まるタイミングで、スタッフのモニターをFlexScanから、コストとスペックのバランスが良いと感じたColorEdge CS2731にアップグレードしました。

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ColorEdge CS2731が並んだCWFの制作現場
 

今回の導入にあわせてネットワークでの色管理も始められたと伺いました。詳細をお教えいただけますか?

当社はImagica EMSが提供するカラーマネージメントコンサルティングを利用しています。
そのサービスの一つに、ネットワーク上に登録したColorEdgeを一括管理できるEIZOのソリューション「ColorNavigator Network」の運用があります。

丁度2021年に「ColorNavigator Network」がColorEdge CSシリーズに対応したことをきっかけに、CS2731の導入を進めていきました。というのも、社内のシステム管理者は私ひとりのため、一括管理なくして、社内の50台近いメインモニターの管理は到底できなかったからです。

Imagica EMSで、「ColorNavigator Network」を使い、遠隔から管理下のモニターのカラーモードやキャリブレーション状況などを確認していただき、アドバイスや手厚いサポートをいただけたことは、安心感につながりました。
 

CS2731はどのように導入を進めましたか?

購入の社内承認を得る時は、DCI-P3色域の再現において、ノートPC、iMacの画面など、色の違いを比較できる環境を用意して、関係者にプレゼンしました。

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まず4台導入して、モニターの色を比べてみてもらい、DCI-P3色域を表現できるモニターが必要であると実感してもらいました。また、基本的なカラーマネージメントの知識を現場スタッフに説明する機会をEIZOさんに用意していただき、スタッフに色への関心を高めてもらいました。

運用に問題ないことを確認してから、さらに25台を追加導入しました。すべてImagica EMSの暗室で高性能な計測器を使って調整いただいてから届けてもらっています。その後、スタッフの増員の度に都度追加していき、現在では42台のCS2731を運用しています。

導入時期はコロナ禍で納期が厳しい状況でしたが、EIZOの営業の方が頑張って対応してくださり、大変感謝しています。
 

CS2731とColorNavigator Networkの導入効果はありましたか?

私のモニター管理にかかる手間は大幅に削減されました。以前は、スタッフが意図せず設定を変えてしまったり、いつの間にかカラープロファイルが変更されていたりすることがありましたが、実機を確認せずとも遠隔から状況を把握できるため、そのような場合の対処も速く、確実にできるようになりました。

また、コロナ禍によりスタッフが各自の自宅からテレワークで作業する場合もありましたが、各自の自宅に行かなくても、ネットワークでCS2731の運用状況を見られることは利便性が高かったです。ColorNavigator Networkは拠点が複数あるスタジオでも、きっと便利なソリューションだと思います。

ColorEdge CSシリーズは、キャリブレーションセンサーを内蔵するCGシリーズと違い、手動でセンサーをぶら下げてのキャリブレーションが必要ですが、実はそんなに不便を感じていません。スタッフにモニターの色に興味を持ってもらうという観点からは、スタッフ自身で定期的な色調整をするというのはいいことのように私は感じます。

システム管理の目指すところは「クリエイターさんがストレスなく、負担なく作業に取組める環境を構築できること」だと思っています。そういう意味でColorEdgeを使っている今は、安心感があります。デジタル作業において、最終確認で目にするのはモニターなので、同じ色を見られる安心感は、数字では表せない価値なのではないかと感じます。
 

最後に、EIZOへの要望があれば教えてください。

先日、CGシリーズの27型4K、ColorEdge CG2700Xが発売されましたが、iMac 5Kを使っている人からは4Kがほしいと言われていたので、あと3年発売が早かったらよかったですね(笑)。

クリエイターがもっと色空間やカラーマネージメントについて触れ合える機会があればいいと思います。EIZOさんには引き続きセミナーや、そのほかの訴求活動に期待しています。


■ご協力
株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム
ホームページ : https://www.cwfilms.jp/
 

導入製品

 

  • 本事例内の都川氏の写真は、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス様ご提供(撮影:森﨑一寿美氏)

 

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本事例の内容は取材当時のものであり、閲覧時点で変更されている可能性があります。ご了承ください。


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