チャートテーブルモニターを導入し、複数人で情報共有・ディスカッションができる場を創出、安全運航につなげる
株式会社JALエンジニアリングは、JALグループの航空機、エンジン、部品の整備、およびその計画、管理までを一貫して担う、航空機の安全運航を支える航空機整備会社です。
2024年2月、羽田空港に拠点を構える、JALエンジニアリングの「羽田航空機整備センター 運航整備部」のオフィスリニューアルプロジェクトに際し、業務のDX化を目的としてEIZOの船舶向けの55型4Kチャートテーブルモニター「DuraVision MDU5501WT」が導入されました。本製品の導入を決めた経緯やその使用感についてご担当者に伺いました。
羽田航空機整備センター 運航整備部 国内運航整備室 室長 井上 和幸 氏 |
羽田航空機整備センター 運航整備部 国内運航整備室 課長 福田 義久 氏 |
羽田航空機整備センター 運航整備部 運航整備技術室 課長 半田 義信 氏 |
貴部署の業務について教えてください。
チャートテーブルモニターを導入したのは、JALエンジニアリングの中の「運航整備部」という部署です。航空機の到着から出発までの時間と夜間駐機中の限られた時間に航空機の整備を行う部署で、24時間体制で稼働しています。航空機の整備には、短い時間で行う「運航整備」と、格納庫に入れて時間をかけて実施する「機体点検整備」がありますが、前者の運航整備を担う当部署では、整備にかけられる時間が限られているため、特にタイムリーに情報共有を行う必要があります。そこで、大画面かつ指やペンでの入力が可能な「DuraVision MDU5501WT」を導入することにしました。 |
オフィス内に設置されたMDU5501WT |
MDU5501WTの活用方法について教えてください。
羽田空港にあるこの整備センターが、JALエンジニアリングの運航整備における中心基地なので、ここには国内外からさまざまな情報が集まってきます。MDU5501WTには、申し送り用の資料や整備のメンテナンスマニュアル、また実際に撮影された機体の映像や写真を表示し、関係スタッフがその周りに集まって情報共有などを行っています。多くの情報を表示する必要がありますが、大画面なので複数人でも見やすく、スムーズに情報共有ができます。
私たちの部署は24時間体制・3交代制なので、シフト交代のタイミングで前のシフト担当者から次の担当者に申し送りを行います。その際に全員でモニターを囲み、情報共有、ディスカッションを行うために活用しています。また、航空機のトラブルなどが発生した場合に、内容の確認を行い、次の便に向けた整備体制の検討ならびに最終決定を行います。 MDU5501WTを導入する前は、情報を紙に印刷したり、各自のPCを使って共有したりしていましたが、複数人で一度に同じ情報を見ることが難しいという課題がありました。大画面のモニターを導入したことで、スタッフが一堂に集まり同じ情報を確認し、知恵を出し合う場を創出することができました。 |
モニターを囲み情報共有を行う |
ご導入の経緯を教えてください。
2022年に、私たち運航整備部が入っているフロアを含め、職場環境を刷新するというプロジェクトを立ち上げました。内装をリフォームするのはもちろんですが、より効率的に働ける環境づくりにも力を入れて取組みました。以前の職場環境の課題を洗い出した際に、国内外にある他の支店と共通のプラットフォームを用意し、それを使って検討や認識合わせを行う土台を整備したいという意見が出ました。共通のプラットフォームを使うことで、より迅速な対応が可能になり、お客さまに提供する航空機の品質向上や定時運航率向上につなげることができます。
プロジェクトを進行する中で、ハードウェアの面で、情報共有の場としてテーブルタイプ、かつタッチ入力ができるモニターあったらいいのではないか、という意見が出ました。一般的な縦置き型のテレビやモニターでは同時に見ることができる人数に制限があり、またタッチ操作やペン入力を行いたいと思っていたので、平置きができるタイプを探していました。その中でEIZOのチャートテーブルモニターに巡り合いました。整備を行う現場のため、埃っぽかったり、振動があったりと、普通のオフィスより過酷な環境です。MDU5501WTの堅牢性の高さも導入の決め手となりました。
リニューアルしたオフィス
ここで日々運航整備の技術的なサポートが行われている
テーブルタイプの大型モニターは他社製品にもありましたが、ハードユースに耐えられる堅牢性が高い製品は見当たりませんでした。MDU5501WTは船舶への搭載を想定して開発された製品なので、当社の要望にとてもマッチしていました。
また今回ソフトウェアについては、ハードウェアとは別で当社要望に沿うものを選定することにしていたので、モニターにOSが入っていないという点も導入した理由の一つですね。社内の許可されたPC・LANネットワークを使用するので、モニターは表示に特化したものを選定しました。
加えて、モニターを使用する人が見たり操作したりするうえでストレスにならないことも大事ですので、画素数やタッチ性能ももちろん重要視しており、これらの条件をすべてクリアしたのがMDU5501WTでした。
導入後の使用感はいかがでしょうか。
モニターを活用していて一番のメリットと感じるのは、画面が大きいので大人数で同じ情報を見ることができる点です。その場にいる全員に確実に最新の情報を共有できるので、情報伝達のミスがなく、同じ認識で会話ができる安心感があります。また、ちょっとしたことでもびくともしない堅牢性の高さについても非常に満足しています。
集まって情報共有やディスカッションを行う際には、ペンを使って文字を書いたり線を引いたり、メモを書き込んで活用しているのですが、入力のレスポンスがとても良くストレスフリーで使えています。書き込んだ情報は、別のPCやクラウドを使ってどこからでも見られるような仕組みを構築し、自分たちの意思が全体に伝わるようにしています。
また、オフィス内にある大きなサイネージにもMDU5501WTに表示されている情報を表示できるようにしており、何かあればモニターの周りに集まっている人以外にも情報共有できる仕組みを構築しています。 |
オフィス内に設置されたサイネージ |
当社に対する要望があれば教えてください。
モニター周りに集まったときに飲み物やノートなどを置けるスペースを確保できるオプション品や、モニターを平置きするための台座もラインナップされていると嬉しいです。また、モニターから少し離れたところにいる人や、背が低めの方は、画面の奥の方をタッチしにくいことがあるので、例えば四隅にトラックパッドのようなものを置いて、操作ができるようになると使い勝手がよいと思います。
貴社の今後の展望を教えてください。
我々は整備の大きな目標として『ゼロゼロ100』というものを掲げ、⓵フライト中の不具合ゼロ、②イレギュラー運航ゼロ、③定時出発率100%を目指しています。これらを成し遂げるために、積極的にDX化を推進しています。そして、「予測整理、予防整備」というものを実施しており、壊れてから直すではなくて、壊れる前に直すことに注力することで、『ゼロゼロ100』の目標を成し遂げられると考えています。この最大の目標に向かってDX器材を運用、最大限活用して安全で高品質な機体を提供していきたいと思っています。
整備士によって得意分野が異なるので、一人で考えるのではなく全員で情報を共有し一緒に知恵を出し合うことで、それぞれの強みを活かし、より高品質な整備が行えるように努めていきます。壊れない航空機を目指すことで安全かつ安心な運航をお客さまに提供できるような体制を整えることが最終的な目標ですね。
■ご協力
株式会社JALエンジニアリング
ホームページ:https://www.jalec.co.jp/