「花時雨」 | 「守ってあげる」 |
今回、当社イラストコンテストのメインビジュアルを作画いただきました。
テーマは「アイドル」でしたが、どんなお気持ち、またはお心がけで作画されましたか?
今回のテーマ、「アイドル」は「魅せることで力を与える」側面ではイラストと似ているところがあると思いました。舞台での姿など、リアルにありそうな一般的なアイドルのイメージを描く選択もあったのですが、「常に変化し力強く動いている波のようなアイドルの元気さ」をイメージにしてみたいと思いました。透明な海の中を舞台にパフォーマンスしていたら面白そうと思い、背景も服装も爽やかなブルーをメインにして、それでも冷たく感じさせない暖かい感じの海を表現してみました。
「キミに贈る波動」 |
イラストを描く際にこだわっていることはありますか?
一番こだわっている部分はテーマ・ストーリー性です。それを表すために情緒や雰囲気を決めて、その情緒や雰囲気を一番的確に表現できる色や構図を選んでいく、といった感じですね。
例えば今回のイラストですと、上でお話ししたようなテーマ性が決まった後に、雰囲気を想像して、それらを表現するためにキャラクターや構図、色味を設定していきます。アイドル4人のイメージは、一つに定まらない方がテーマと合うと思いましたので、清楚、キュート、小悪魔系、チャーミングなどのイメージを4人に割り振って、ポーズも衣装もそれぞれ違う方向性にしてみました。あとは清涼感と元気さが伝わるように、波のリズミカルな動きや、透明感にはこだわりました。水の中のキラキラする表現が特に楽しかったですね。
最初に決めたテーマやストーリーの元でさまざまな部分を描いていくと、伝えたいイメージがより明確になっていくし、何が描きたかったんだろう?と迷うことも少なくなります。
普段イラスト制作に使用しているツールを教えてください。
- FlexScan EV2785(後継機種:EV2740X)
- Wacom CINTIQ PRO 24
- iPad Pro 12.9インチ
メインビジュアルの作画にあたり試用いただきましたColorEdge CS2740の使い心地はどうでしたか?
Tiv氏の仕事場
私は普段、描画作業にワコム社の液晶ペンタブレットを、表示確認にEIZOの4KモニターFlexScan EV2785を使っています。液晶ペンタブレットは長時間眺める必要があるため、目の疲れ防止を優先して理想的な輝度・発色から少し離れた設定にしています。また、描画体制を楽にするため常に角度を付けているので、照明の反射や角度による遠近の影響を受けています。そういった理由で、表示確認に使うモニターは、正確に表示するという重要な役割があります。
今回、普段使っているEV2785と同サイズ・同解像度のColorEdge CS2740を試用しました。EV2785との一番の違いは専用カラーマネージメントソフトウェアColorNavigator 7 が使用できる点でした。今までは描画用の液晶ペンタブレットとモニターの微妙な色の違いに悩んでいたのですが、ColorNavigator 7を使って調整することで、モニターの表示をより信頼することができるようになり、モニター上で目指していた発色を再現することができました。
また、ColorEdge CS2740は、鮮やかな発色を保ちながら色表現が豊かで、細かい色の違いをチェックすることができました。普段、描画中には気が付かず、印刷工程になって見つかるほんの微弱な色の違いなどをリアルタイムで抜かりなくチェックすることができました。
今回、ColorEdgeの専用ソフトウェア(ColorNavigator 7)を使用してキャリブレーションに挑戦いただきましたが、その感想を教えてください。
専用ソフトなので互換性はもちろん良く、またインタフェースも使いやすく、使用直後からすごく安心感がありました。どのタイミングでキャリブレーションをする必要があるのかも、一からガイドしてくれるので、キャリブレーション機器の使用経験や関連知識がない方も安心して使用できそう!と思いました。
そしてやはりキャリブレーションの前後で表示を見比べると、部屋の照度を考慮した部分など、自分の目による普段の調整では物足りなかった部分がはっきり分かりました。とても簡単に、かつ短時間で高精度な調整ができるので、キャリブレーションを試したことがない方も、ぜひ試してみてほしいと思いました。
モニターをキャリブレーションセンサーで測定し、目標値に沿って画面表示されるよう表示調整を行うこと。液晶モニターは使い続けると明るさや色味が経時変化するため、定期的な表示調整が必要になります。
ColorEdge専用のソフトウェアColorNavigator 7 でのキャリブレーションは、パソコンの出力信号を触らずに、直接モニターの表示を調整する「ハードウェア・キャリブレーション」です。データそのものの階調を犠牲にすることなく、より短時間で精度の高い調整ができます。
キャリブレーションが必要な理由はこちら
「ハードウェア・キャリブレーション」と「ソフトウェア・キャリブレーション」の違いはこちら
イラストを描いている中で一番楽しい瞬間はいつですか?
ラフ作りのときと、完成が近づいてきたときです。最初にラフイメージを作るときは楽しいのですが、実際に描いている過程ではまだそのイメージに全然近づかない…という気持ちで悩んだりもします。そして、一つずつ段階を踏んでようやく完成イメージに近づいた瞬間に一番楽しくなります。
「華香幻想」 |
イラストレーターを目指す人に向けてのメッセージ
イラストを世に見せる楽しみを大事にしてほしいと思います。絵を描いているときは、土台になるテーマはもちろん、イラストの細かい表現から使用機器の設定・調整に至るまで、悩みやこだわりが無数に重なっていきますよね。そういう過程を経て誕生したものを発表して見せることで、「表現」の悩みは、やりがいに変わると思います。見せることで得るものは必ず次の作品に続いて行くと思いますので、積極的に作品を見せて行ってほしいです!
Tiv 氏 略歴
漫画家兼イラストレーター。 |