80台以上のColorEdgeモニターを
ネットワーク カラーマネージメントソリューション
「ColorNavigator Network」で運用
導入製品
ColorEdge CG247X × 80台 |
©2018 TOHO CO., LTD. |
(株)ポリゴン・ピクチュアズ様制作の最新作品
映画「GODZILLA 決戦機動増殖都市」は2018年5月18日(金)より全国東宝系にて公開 |
株式会社ポリゴン・ピクチュアズは、国内有数のデジタルアニメーションスタジオです。アニメーション映画『GODZILLA』三部作や『BLAME!』をはじめとする長編フルCG・映画や、TV番組、ゲームなどさまざまなジャンルのデジタルアニメーション制作を手がけています。
今回、CG制作用途にColorEdge CG247Xを、ミーティング用途にCG277を合計80台以上導入いただきました。さらに同社では、サーバーを介して複数のColorEdgeモニターを一元管理できる、EIZOのモニター管理ソリューション「ColorNavigator Network」でネットワーク管理も実施されています。
システム管理を行う林氏、制作を担当する佐々氏にColorEdge導入にいたった経緯や運用メリットについて伺いました。 |
現在の制作環境について教えてください。
林氏:当社内は、大きく分けて管理業務部門、制作(アーティスト)部門、プリプロダクション部門があります。アーティストは合計220名程度いて、プロジェクトごとにチームを編成しています。 |
システム部 サポートグループ 林 雄吾氏 |
ColorEdgeを導入いただいた経緯を教えてください。
林氏:当社作品の特徴として、黒色の背景や暗い場面が多いのですが、ピクチャーモニターで見た絵と、アーティストが見た絵と、最後にマスモニでみた絵、この3つすべてで黒の深みが合わないという問題がありました。
半年に一度、外付けのセンサーでキャリブレーションはしていたのですが、チェックの後にリテイクが入るというのが繰り返されていたため、しっかりしたキャリブレーション環境を作って、アーティストの環境を統一するということを課題としていました。
ちょうど以前使っていたモニターが3年を過ぎて、調整しても色が合わないという状態になっており、そこでColorEdgeが候補に挙がりました。実機の表示性能を評価した上で、自動でキャリブレーションを実施できるという点も決め手となり、採用を決めました。
ColorEdgeの運用方法について教えてください。
林氏:以前からの課題だった、チェックモニターで確認すると色が違って見えるという問題を克服するため、また外のスタジオでも同じ色で確認できるようにするために、現在、アーティストが使用するColorEdgeモニターはsRGBで統一しています。
キャリブレーションは、200時間ごと、パワーセーブ時にColorEdge内蔵のセンサーが自動で行うよう設定しています。
佐々氏:僕らが気づかない間にキャリブレーションしてくれるのは便利ですね。
林氏:使っている間にやると、みんなキャンセルしてしまうので。(笑)
ColorEdge CG247Xが80台導入された制作部門
制作物を確認するミーティングルームにもCG277を設置
実際ColorEdgeを導入いただいた使用感・効果はどうですか。
林氏:当社はSF作品が多いので、宇宙だとか背景の暗いシーンが多いのですが、そういう部分の色味や階調をモニター上で正しく確認できないことが課題になっていました。「BLAME!」の時には監督から、ある暗いシーンの背景について詳細な要望を受けていました。 ColorEdgeになって、アーティストが自分の画面で暗い部分や黒色部分を確認できるようになり、監督の細かな要望にも、的確に対応できるようになりましたね。 |
制作部ビジュアライジング グループリーダー 佐々 洋章氏 |
林氏:これまでは外付けセンサーと、モニター前面にあるボタンを使って1台1台表示調整していました。席や人の移動がある度に30分以上かけて調整していましたが、その間は作業が止まってしまいます。システムの人間も30分張り付いて、アーティストも30分仕事ができない状態でした。 佐々氏:ColorEdge導入後は、席を移動してもすぐに自動でキャリブレーションが実行されるので、もう全部手動でやらなくて済むようになりました。全然違いますね。 |
CG247Xを使ったCG制作の様子 |
林氏:ColorEdge導入前は、現場のアーティストとのスケジュール調整も大変でしたね。 システム部門の担当者は1か月に20台くらい手動でモニター調整を行っていたので、ColorEdgeを導入することで、単純に1か月で10時間くらいは作業時間を短縮できましたね。 |
林さんがシステム環境を構築する中で、気にされているポイントはありますか。
林氏:使用しているシステムごとにOSが異なりますので、今回一番重視したのは、OSに依らない仕組みを築くということでした。
また、現場にモニターを設置してからキャリブレーションを行うと、工数も時間もかかってしまうので、なるべく一か所にモニターを保管しておいて、必要となれば持参する形を作りたいなと。こうすれば調整も不要ですし、アーティストからモニターを要求されたときにすぐ提供できるようになりました。在庫管理も簡単になるので、私はそこを一番重視しましたね。
ColorNavigator Networkの使用感・効果はどうですか。
林氏:何時何分にどのようなアクションがあったというログが取れるので、問題が起きた場合でもすぐ要因がわかって、対応できますね。
今までは、いつキャリブレーションしたかは記録に頼るしかなかったのですが、ColorNavigator Networkを導入してから、どれくらいの時間稼働していて、どれくらいの頻度でキャリブレーションするかの情報管理がしやすくなりました。
あとは、個々のモニターがそれぞれどのような表示調整目標で調整しているか、というのがきちんと確認できるようになりましたね。
ColorNavigator Networkとは
複数台ColorEdgeをお使いの法人様向け、モニター管理ソリューション。モニター管理者は、クラウド上の管理サーバを介し、1台のPCから管理下にあるColorEdgeの表示調整を一括で行えます。モニター表示調整にかかる時間・コストを削減し、スムーズな資産管理を実現します。アカウント発行・運用は無償です。ColorNavigator Networkの詳細はこちら
資産管理としても使っていらっしゃるようですね。
林氏:棚卸の時にもきちんと管理できるように、設置場所なども登録しています。
使用時間も確認できるので、年数が経ってきて入替えを検討する時にも、じゃあどれから入替えようか、という目安になりますね。
今後の展望について教えてください。
林氏:あと5年で、一応全部EIZOにしたいですね。アーティスト1名に対して、必ず最低1台はColorEdgeを使用させたいです。今は220名に対して、80台しか導入しておらず、色によりシビアな仕事をしている人から配っている状態です。いま稼働中のモニターを入替える際に、少しずつ増やしていきたいと思っています。
最後に、試験的にご導入いただいたColorEdge CG318-4KのHDR(PQ方式)表示対応アップグレードサービスについてもお聞かせください。
林氏:今、ColorEdgeを導入したことで、ハードウェア・キャリブレーションを行える環境が整い、アーティスト間の環境が統一するというベースが完成してきました。今後、その上にACESなど色域を広げたレンダリングのパイプラインの導入を検討しており、その先には、HDRコンテンツの制作も見据えています。
佐々氏:HDRコンテンツの需要は今後高まっていきますし、当社はフルCGで制作しているので、親和性も非常に高いです。費用対効果の観点からみても、HDRはコンテンツの付加価値を高めやすいと思います。PQ方式のHDR表示にアップグレードできるColorEdge CG318-4Kは、こうしたHDR制作の色確認用モニターとして活用していきたいと思います。
■ご協力
株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
ホームページ:http://www.ppi.co.jp/
導入製品
ColorEdge CG247X × 80台
CG277 × 4台
CG318-4K × 1台