「空渡り」 |
イラストを描くうえでこだわっていることを教えてください。
何よりもこだわっているのは『分かりやすさ』です。元々アニメの背景を描いていたこともありますが、アニメは、シーンによっては1秒も表示されずにカットが切替わることもあります。昨今のSNSも同じで、アニメもSNSのタイムラインも絵が一瞬で流れていってしまいます。そのため、イラストが一瞬しか表示されないことを想定し、どんなに密度のある複雑なイラストだとしても、コンセプトや主役となるものがスッと入ってきて、理解できるものを目指しています。
具体的には、絵の中でどこかをぼかしたり、抜けをつくったり、物の配置や色の変化でキャラクターに視線を誘導したりします。キャラクター周辺の描き込みを他の部分より増やすなどして、「背景」の役割を常に念頭において作業しています。
今回、当社イラストコンテストのメインビジュアルを描き下ろしていただきました。
どのようなお気持ちまたはお心がけで作画されましたか?
実は絵の仕事を始めるにあたり、できるだけ良いものをと探した結果行きついたのがEIZOさまのモニターでした。今回、コンテスト用のメインビジュアルのご依頼をいただいて、とても舞い上がりました(笑)。
絵を描いているときは、アニメ会社に入社して絵をしっかり習い始めたときの葛藤や、描けたときの嬉しさなどしみじみと思い出していました。このイラストがコンテストに参加してくださる方々の目にどう映るかは分かりませんが、作画の腕を向上させていく1つのきっかけとなるといいなと思っております。参加者の皆様同士が刺激を受け合い、切磋琢磨できるコンテストになって欲しいです。
作画にあたりご試用いただいたColorEdge CS2420-Zの使い心地はどうでしたか?
高解像度でキメが細かく、絵を描くうえではグラデーションが滑らかでとてもきれいに表示されていました。キャリブレーションセンサーは初めて使用しましたが、正しい色で表示されるという安心感は素晴らしいです。家電量販店でモニターコーナーを見ているとみんなそれぞれ色が違っていて、どれを選べばいいか分からなくなることがありました。ColorEdgeはsRGBやAdobe RGB、印刷物など、制作物に合わせて最適な画面表示に切替えることができるので自信をもって色の選択ができます。ちょうど試用期間中に、最終的に印刷までするイラストを描くことがあったのでありがたかったです。色校正がないお仕事もあるので、完成形がモニター上でわかると送り出すときも安心することができました。
そして、個人的に気に入っているのは目の疲れづらさと便利さです。画面に表示されているイラスト自体は繊細で綺麗なのですが、部屋の映り込みが目立ちにくく、チカチカした感じもしないので、時間を忘れ夢中になって没頭するような長時間の作業も苦になりにくいです。 |
普段イラスト制作に使用しているツールを教えていただけますか?
- Wacom Cintiq 27QHD
- FlexScan EV2760
- FlexScan SX2462W-HX
仕事場風景 |
作画の様子 |
イラストを描いている中で一番楽しい瞬間はいつですか?
仕上げの工程です。仕上げの工程は、ドミノを必死に立てていって、最後、ツンッと倒してそれを眺めるときと似たような喜びがあります(笑)。私の描き方が、パーツを分けて描いて、最後にバラバラなパーツをなじませて一枚の絵に落とし込んでいく感じなので、一つになっていく仕上げの工程はたまらないです(笑)。
イラストレーターを目指す人に向けてのメッセージをお願いします。
私が学生の頃は、絵を仕事にするということ自体がとても不安要素の多いものだというイメージがありました。最近ではイラストレーターというお仕事に対するイメージも変わってきたように思います。イラストレーターの人口が増え、定義のようなものが曖昧になって、色々なオリジナリティを持った方が増えた印象です。私自身もそういう付加価値となるオリジナリティを現在進行形で探しています。これからイラストレーターを目指す方にはぜひとも他人にはないオリジナリティを探していただけると良いと思います。まだ見つけられていない人も、絵を描き続けていると突然、これだ!と気づく時がきます。
絵を描くことにおいて、正しい努力は必ず報われると思います。ほんの少しは才能も関係があるかもしれませんが、継続できるのが何よりの才能だと思います。身体を大事にお互い頑張りましょう。
「無星限」
mocha氏 略歴
アニメの背景会社入社。TVアニメ、劇場アニメなどの映像作品に背景スタッフとして参加。 |
試用製品
- ColorEdge CS2420-Z(後継機種はこちら)