映像編集・リファレンスモニターにColorEdgeを採用したきっかけ、また使用して評価している点を教えてください。
CRTの時代は当時の先輩の薦めもあってナナオ(現:EIZO)を選んでいましたが、液晶時代はシネマディスプレイを筆頭とする他社製モニターを使ってきました。CG277を機にEIZOに回帰した訳ですが、その理由は簡易とはいえDCI 4K対応であることと、色管理の厳密さと柔軟性でした。
他社から安価な4Kモニターも出てきているものの、その多くはUHD(3840x2160)であり、シネマ4K(4160x2160)をドットバイドットで表示できるモニターは少なく、さらに厳密なカラーキャリブレーション機能を持つ・・・と条件をつけると候補は極端に少なくなるのが現実です。実はEIZOでさえ、大きくて高価なCG318-4Kか映像編集には小さいCG248-4Kしかありません・・・そしてCG248-4KはUHDです。程よい業務用4Kディスプレイの選択肢は現在でも無いに等しいのです。
そしてもうひとつ、映像をメインフィールドにしながらも写真を仕事で扱うことも同じくらい多いわたしにとって、EBU、Rec709、SMPTE-C、DCIといったカラーモードをプリセットで持ち、スチル用にキャリブレーションした設定とあわせ簡単に切替えができるのが大きなアドバンテージでした。これはCG277の購入から2年半経った現在でも、いちばん便利と感じている機能です。さらに言えばわたしは面倒くさがりなので、キャリブレーションセンサー内蔵でほぼ自動でこれらの色管理環境が維持できるのも大きな利点です。 |
斎賀氏のデスク環境 |
写真同様に映像にとっても色は非常に重要です。特にカラートーンが世界観を表現する場合、その色味のデリケートな差が作品世界を大きく左右します。一方で、映像が表示されるデバイスはテレビ、プロジェクター、PC画面、タブレットにスマートフォンと多様化の一途をたどり、標準の色味とは・・・と悩むことも多くなりました。そんな現状でCG277を運用する大きな意味は「自分にとっての規準デバイスを持つこと」だと思います。可能な限り精緻に調整されたモニターが表示する映像を自分の規準とする。自分の意図する色はこれだと自信を持ってアウトプットするときに必要なのが、信頼できる表示装置だと考えていま す。自分が教える大学の映像系演習室を(一体型Macを除き)ColorEdgeで統一しているのはそんな意味があるからです。
斎賀 和彦(さいか かずひこ)氏 略歴
CM制作会社の企画演出として多くのコマーシャルフィルムに携わる中でノンリニア映像編集の黎明期に立ち会う。ハイエンド編集システムの公認トレーナーを経て、現在は大学、大学院で理論と実践の両面から映像を教える。駿河台大学メディア情報学部教授。デジタルハリウッド大学大学院客員教授。 |
ブログ : http://mono-logue.air-nifty.com
導入製品
- ColorEdge CG277