EIZOは、本社(石川県)敷地内にオプティカルボンディングの加工ラインを設けています。
自社内に加工ラインを設けることで、液晶モニターの表示視認性や耐久性の向上など、特定市場や特別な使用環境におけるより高度なニーズに、柔軟かつスピーディに対応します。
オプティカルボンディングとは
液晶面に保護ガラスやタッチパネルを装着する液晶モニターには、それら保護ガラスやタッチパネルと映像表示部分である液晶モジュールとの間にわずかな隙間が存在しています。
オプティカルボンディングとは、樹脂素材(光学弾性樹脂)で「液晶モジュール」と「保護ガラス(またはタッチパネル)」の隙間を埋めて貼り合せる技術です。
オプティカルボンディングの効果
以下の表は①船舶モニターDuraVision MDF2701W(オプティカルボンディング加工あり・350cd/m2)と②船舶モニターの従来機種(オプティカルボンディング加工なし・500cd/m2)のコントラスト比を比較した表です。①の輝度350cd/m2の画面は、②の高輝度な500cd/m2の画面よりも、視認性が良いという検証結果が得られました。①と同等の視認性をボンディング加工なしで実現するには、計算上1160cd/m2の輝度が必要です(③)。
(2024年3月、当社調べ)
紙面上にある文字の一般的なコントラスト比は10(10:1)で、これを下回ると視認性が悪くなります。②は5300Luxの環境下でコントラスト比10を下回りますが、①は12500Luxの明るい環境下でもコントラスト比10を維持できました。
- SID(Society for Information Display)にて規格化されたIDMS(Information Display Measurements Standard)15.4に則って測定しました。
左:オプティカルボンディングなし・500cd/m2(保護ガラス装備)
右:オプティカルボンディングあり・350cd/m2(保護ガラス装備)
オプティカルボンディングの特長
くっきりとした表示
ユーザーが見ている液晶モニターの表示画像は、液晶モジュールの光が、空気層と保護ガラスを経て放射されたものです。通常は、屈折率の異なる空気層や保護ガラスを透過することで、光の強度が減退し表示輝度が失われます。 オプティカルボンディング技術は、液晶モジュールと保護ガラスを貼り合せることで光の屈折率を最小限に抑え、視認性に優れる表示画像を維持します。 |
活用例
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目障りな映り込みを抑制
液晶モニターの画面の映り込みは、画面を照らす外光が屈折率の異なる空気層や保護ガラスを透過する際に発生する光の反射です。 オプティカルボンディング技術は、液晶モジュールと保護ガラスを貼り合せることで光の屈折率を最小限に抑え、目障りになる画面の映り込みを和らげることができます。 |
活用例
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耐久性を向上
オプティカルボンディングは、空気層に光学弾性樹脂を流し込むことで表示面の物理的な強度を向上できます。 液晶モジュールと保護ガラスの間に隙間が存在しないため、埃や水分などの異物の侵入による液晶モジュールのダメージも防ぐことができます。 |
活用例
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結露を防止
寒暖差の激しい環境などで液晶モニターを使用すると、液晶モジュールと保護ガラスの隙間に存在する水蒸気が結露する場合があります。 オプティカルボンディングを施した液晶モニターは、結露の原因となる液晶モジュールと保護ガラス間の空気層が存在しないため、内部結露によって表示視認性が損なわれることがありません。 |
活用例
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タッチパネル入力の一体感が向上
一部の方式を除きタッチモニターは、タッチパネルの厚みによって画像の表示面と実際のタッチポイントとの間に視差が生じます。この視差によって、特にペン入力時などに、タッチ入力の一体感が阻害される場合があります。 タッチモニターにオプティカルボンディングを施すことで、タッチポイントと画像を視認できるポイントが一致しやすくなるため、視差による違和感が少ない自然なタッチ入力が行えます。 |