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株式会社白組 様

ColorNavigator Network試用事例
 

株式会社白組 様

株式会社白組

 

映画『寄生獣』の制作に
制作協力会社とモニター情報を共有して運用

映画『寄生獣』は11月29日より全国東宝系にて公開
映画『寄生獣 完結編』は2015年4月25日より公開

映画『寄生獣』公式サイト : http://www.kiseiju.com/

映画「寄生獣」のポスター

<インタビュー>
システム部 部長 鈴木 勝 氏
システムエンジニア/3Dマッチムーブ 早川 胤男 氏

 インタビューは株式会社白組の「調布スタジオ」で行いました。同社は調布スタジオの他、本社の青山を中心に、三軒茶屋、杉並と都内計4カ所にスタジオを所有しています。

白組のチーム編成と制作環境を教えてください。

鈴木氏:調布スタジオでは、主にVFX映画の制作を行っており、CGチームとコンポジットチームで制作を行っています。コンポジットチームには2011年からCG245Wを使用していて、CGチームには今回の作品に合わせてColorEdge CG246を導入しています。様々な実際のプロジェクトで検証を行いながら、段階的にモニターを導入し、ついに映画『寄生獣』で調布スタジオの全制作スタッフが揃ってColorEdgeで作業する体制ができました。従来使用していたモニターと合わせて二画面で使用し、ColorEdgeは、色を確認するメインモニターとして使用しています。そして、ColorNavigator 6からColorNavigator NXに移行し、他のスタジオにあるColorEdgeも含めて一元管理をしています。PC環境として、CGチームはAutodesk MayaがインストールされたHP Z820ワークステーションをLinux環境で使用し、Windows OS環境のサブPCと切り替えて使っています。コンポジットチームはThe Foundry NUKEXがインストールされたHP Z820ワークステーションを、OSはWindows 7 Professional 64bitで使用しています。

早川氏:調布スタジオのスタッフ構成は、CGチームは8名、コンポジットチームは6名に加え、監督職とVFXスーパバイザーの2名、そして作品全体のチェック用の共有台に1台の合計17台のColorEdgeを運用しています。
  鈴木 勝 氏
システム部 部長
鈴木 勝

 

ColorEdge導入のきっかけを教えてください。

鈴木氏:投影型のシネマ用プロジェクターと、自己発光の制作用液晶モニターでは見え方が100%同じにはなりませんが、誤差をできる限り少なくした環境を作る必要性を感じていました。総合的なデータの管理を行っているポストプロダクションの「株式会社ピクチャーエレメント」のグレーディングの部屋ではシネマプロジェクターと合わせてColorEdgeも活用しており、弊社も同じ製品を導入することで、より誤差を少なくできることがきっかけとなりました。映画『寄生獣』ではDCI-P3規格で制作することが決まり、リニアワークフローで制作する上でAutodesk Mayaを使うCGチームにもDCI-P3の色域を再現できるモニターが必要で追加導入しました。

早川氏:弊社では、よりフィニッシングに近い作業工程のThe Foundry NUKEXを使うコンポジットチームから先にColorEdgeを導入しリニアワークフローで運用を始めました。CGチームではsRGB相当のモニターを基準として絵作りをしていたため、CGソフト側の機能も合わせて、すぐに全体の作業を変えることが難しかったため、従来のモニターで運用を継続しました。幾つかの作品を通じて、コンポジットチームでの運用に実績ができたため、今作のタイミングで、制作ワークフロー全体をリニアワークフロー環境に移行させ、CGチームから上がって来た絵とコンポチームで作業する絵が同じルックで確認できる環境を整えました。
  早川 胤男 氏
システムエンジニア/3Dマッチムーブ
早川 胤男

鈴木氏:カラーマネージメントモニターの導入の課題として、どの会社でも段階的な導入が必要になると思います。作業工程の最後に近い所から変更していくのが良いと思います。スタッフの理解も進むので段階的に導入していくことをおすすめします。

ColorEdge導入後のメリットは、正しい色を確認できることでしょうか。

早川氏:そうですね。当社の場合、CGチームがモデルだけではなく色も含め最終絵に近い形まで仕上げて、コンポジットチームは、そのシーンに揃えて調整していくという制作スタイルです。他社では、コンポジットチームがさまざまなエレメントを組み合わせて絵を作ることもありますが、調布スタジオでは最終絵に近い状態を微調整していくのでお互いに同じ絵を見れることが大切なのです。映画『永遠のO』の制作時は、CGチームではsRGB環境、コンポジットチームでは最終形態に合わせてDCI-P3規格が表示できる環境と、環境に違いがあったので、色のイメージの差を埋めるのは難しかったので、制作モニター環境を統一したいという望みがありました。特にVFX作業では、実写撮影された映像にCGを作成していく上で、両チームが同じ色の環境で作業できるメリットは大きいです。

鈴木氏:協力会社も導入してもらえるようになってきたのもメリットとして大きいです。基準となる絵を渡した時に、相互に見え方が違っていると、仕上がって来た絵を何度も直していただく必要があります。協力会社も一緒にColorEdge使うことで、受け取るデータのブレ幅を最小限に抑えることができます。

早川氏:制作協力会社である「株式会社D・A・G」に先駆けて、映画『永遠のO』制作時にはマット画チームの「fude」もColorEdgeを導入し、当社と環境を合わせていただいたので快適にやり取りが行えるようになりました。各協力会社が離れたところにいてもここまで共有できるのはありがたいですね。

鈴木氏:形状やアニメーションが異なった場合は説明しやすいですが、色が違うのは相手の環境が見えてないので、何ともいいようがないですものね(笑)。

作品の色決定はどのように行っていますか。

鈴木氏:「株式会社ピクチャーエレメント」のグレーディングルームで最終的な色が決まります。

早川氏:まずは、グレーディングルームで調整された連番の画像を受け取り、その色に合わせて作業を行います。

鈴木氏:昔は1台のCRTのマスターモニターで確認しながら、経験の中からCRTとスクリーンの差を踏まえて調整し、試写回数を重ねて対応していく必要がありました。現在では、スタッフ同士がColorEdgeモニター上で確認しながら作業することができます。作業効率だけでなく質も改善することができました。
また、各社が協力し合っているのもありがたいことです。ピクチャーエレメントさんでは、スクリーンだけではなく、ColorEdgeでの表示も確認していて、作品に合わせたモニター設定を受け取っています。スクリーンとColorEdgeとの違いも実際に確認させていただきました。それを確認した上で調布スタジオの各モニターに展開しました。その時はまだColorNavigator Networkではなく、ColorNavigator 6で1台ずつ調整していましたので、早川と手分けしてスタッフの作業していない間に設定しました…もう少し早くColorNavigator Networkを試用できたらずっと楽でしたね(笑)。

今回、ColorNavigator Networkをいち早く試用いただけた理由を教えていただけますか。

鈴木氏:以前からネットワークで管理したいと思っていました。当社は他に都内3箇所にスタジオがあり、徐々に他のスタジオにColorEdgeを導入すると考えたときに、1台ずつ調整するは大変だな…と思っていました。また設定したカラーモードが正しく使われているか全体を確認できるところも魅力でした。

試用後、すぐに全ColorEdgeをColorNavigator Networkによる運用に切り替えられて、驚きました。

 当社は、CGソフトでも常に新バージョンをチャレンジし続けてます。ツールは実際に使ってみないと分からないこともあるので、積極的にチャレンジするようにしています。もちろん、従来のColorNavigator 6との違いも比較を行いながら検討しました。

ColorNavigator Networkの試用感を教えてください。

早川氏:以前は私たちが時間を作って各座席に回って設定を行っていましたので、自動でキャリブレーションするところは非常にありがたかったです。設定して適用すればすぐに行ってくれるということが実に楽で(笑)。人に頼ったキャリブレーション忘れも防げますしね。

鈴木氏:ColorEdge CGシリーズを導入する前は、測色器を持って回るのもスタッフの時間と調整しながらなので、手間なだけでなく時間もかかりました。
ColorEdge導入にかかる費用は、色が要因でやり直しになる作業や、スクリーンのあるグレーディングルームに確認に向かう物理的な移動時間もあり、見えない管理コストを考えるととても費用対効果があります。新しい機材を導入する際に経営者としては、導入費用に目が行ってしまいがちですが、4年間使うことを考えると、費用対効果はとても高いと考えています。

ColorNavigator Networkで色管理されたスタジオ内
ColorNavigator Networkで色管理されたスタジオ内

 ColorNavigator Networkは自社内に限らず、協力会社も含めて管理できるところが優れています。国内では、システム管理者が常駐していない会社もあるので、1台からでもいいのでColorEdge CGシリーズを用意してもらい、設定を共有して当社で管理するということもできます。先方にとっても当社がモニター状況を管理することが安心材料になりますね。

 最新作の映画『寄生獣』(11月29日公開)では、制作協力会社である「株式会社D・A・G」とColorNavigator Networkでモニター情報を共有し、制作を進めました。管理体制は、管理者である私が全体を把握できるようになっていて、スタジオごとに、調布は早川が、三軒茶屋は三茶のシステム部が閲覧できるようになっています。同じように、D・A・GさんでもColorNavigator Networkでの自社分の管理状況を閲覧できるようにしています。

映画『寄生獣』における株式会社D・A・Gとのモニター情報共有について詳細教えてください。

鈴木氏:D・A・Gさんとは、以前から、当社にColorEdge CG245Wを持ち込みいただき、キャリブレーションを行い表示が近いことを確認してもらっていました。それぐらいモニターに気を配ってくれる会社で、ColorNavigator Network導入も意欲的に協力していただきました。ネットワークでの管理による効率化は歴然としていますね。先方でもキャリブレーションが成功しているかどうかのモニターの状態を一覧で把握できることや、弊社と同じように設定にプロジェクトの名前を付けて共通化できることなどが大変好評でした。

 このような信頼関係は、少しずつ築いていくのが急がば回れだと思います。複数の設定を切り替えられることを活用して、ゲーム制作やサイネージのように一般的なテレビを最終ターゲットに設定するものや、ウェブ、モバイル、テレビとさまざまな映像や画像が上がってくる広告代理店など他の業種でも展開できるといいですね。
 我々はプロとして一枚ずつの色で勝負しているからこそ、表示環境を整え、最終品質管理を整える必要があると思います。従来のようなマスターモニター1台だけで最終チェックする方法もありますが、制作時から各作業者の誤差を少なくしていく努力の方が今は重要だと思います。

その他、ColorNavigator Networkを活用してよかった点はありますか?

鈴木氏:ColorNavigator Networkで登録できる資産情報を活用していきたいと思っています。モニター利用者と利用場所を登録することができ、モニターがどこで使われているかが簡単に管理できます。更にシステム管理としては、モニターのFirmware、接続されているPCのOSも一覧に表示されサポート面での活用方法が広がりますね。
 もちろん、ColorNavigator Networkでもカラーモード設定の操作性もしっかりと備えています。DCI-P3だけでなくRec.709、sRGBなどの映像制作で使う規格がプリセットされていて簡単に選べる点も優れています。

いままでの運用と比較して時間短縮はできましたか?

鈴木氏:相当短縮することができました。ColorEdge CG246、CG245Wの導入で、センサーを取り付けてのキャリブレーション作業が不要になりましたが、今度は設置から設定までも高速に。

早川氏:購入後まず初期設定をする時に、結構時間がかかったように記憶しています。

鈴木氏:ColorNavigator Networkの場合は、管理ソフトウェアColorNavigator NXに事前に用意しておいた設定ファイル読み込ませるだけで、あとはColorNavigator Networkからモニター設定を一括で送信しキャリブレーションがスタートするので圧倒的に時間がかからないです。

今後のColorNavigator Networkへの要望はありますか?

早川氏:ブラウザ上の確認画面がiPadでも確認できるようにレイアウトされるといいですね。

鈴木氏:私もそう思います。iPad用のシンプル版があって、エラーが出ているものがないかなど、日々チェックできるアプリがあったらいいですね。個人的にはMacBook AirやSurfaceなどの解像度が高くない画面でも閲覧できるUIになるとありがたいですね。既に情報欄を調整して減らして表示しているのですが、UIを工夫していただけるとありがたいです。

 また、資産管理上ではColorNavigator Networkの資産管理画面で、グループ指定して管理場所を一括で流しこみ設定したいです。いろんな拠点を管理している会社は利便性が高いようにと思いますし、同じフロアでも部署ごとに細かく管理する際に役立つと思います。

ColorNavigator Networkを使ったこの先の展望を教えていただけますか?

鈴木氏:先ほどお話しした内容ですが、まずは協力会社と共有して活用していくということですね。多くの会社が1プロジェクトだけというのは少ないと思います。2つ3つと、複数のプロジェクトが前後に重なる会社も多いと思います。そんな中で複数設定を一元管理できるColorNavigator Networkは提案しやすいと思います。当社が管理するモニター台数が増えることになったとしても、作業にかかる時間が短縮できるなら、全体的な無駄の削減につながると思います。

早川氏:我々もここ数年でセルフキャリブレーション対応のモニターを導入しました。以前は調整を行っていても、時間が経つにつれてターゲットからズレてないか?と不安要素がゼロではなかった。スタッフは多くの経験からスクリーンルーム環境との差を把握しているほうでしたが、実際にスクリーンルームで確認してから修正をするのは時間も費用も悩ましいものがありました。
 ColorEdgeのように毎週しっかりとセルフキャリブレーションされ報告される仕組みがあると安心感がありますね。行っている作業にズレが無いことはスタッフにとっても精神的に楽だと思います。

鈴木氏:そうですね。皆が意識して、やれることから少しずつ実践していけば実現できないことはないですね。色に関する知識が少ないクライアントが居たとしても、我々がもっと分かり易く説明できるようにしていかないといけないです。私たちが使うだけでなくColorEdgeを通じて、色に関する情報を広げていく事が大切だと思っています。

早川氏:信頼をおいてきたマスターモニターが寿命を迎える時代のなかで、どこに目標を設定していけばいいのかと、多くの人がずっと悩んできたと思います。目標となるマスター環境も重要ですが、制作モニターとしてColorEdgeを使い、制作中から品質管理しマスター環境との差をできる限り少なくしていく。それを支える環境としてColorNavigator Networkのような管理ツールがあるとスタッフの負担は大幅に改善されると思います。

■ご協力

株式会社白組
ホームページ : http://www.shirogumi.com/
  株式会社白組
調布スタジオの外観

 

導入事例