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クリエイティブ

イラストレーター 田中 寛崇氏

田中さんには、当社ビジネスモニター『FlexScan』を象徴するブランドメッセージを作画いただきました。テーマは「理想のワークスタイル」でしたが、どんなお気持ちで作画されましたか?

 この数年で働き方が大きく変わった人も多いかと思います。ブランドメッセージはそんな社会的な動きを反映して、それぞれの理想的な環境をFlexScanで構築することができるというメッセージになれば、と考えました。

 我が家ではもともと私も妻も在宅で仕事をしており、特に妻はリビングのソファとダイニングテーブルで、MacBookとiPadを使って仕事をしています。FlexScanはそんな妻の制作環境の一助にもなるのではないか、と重ねて考えながら、どういう環境なら快適だろうかと想像して制作しました。

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「理想のワークスタイル」をテーマに制作されたFlexScanブランドメッセージ。田中さんには、心地よい新しい働き方が体現された爽やかなイラストを作画いただいた。
FlexScanブランドメッセージに込めた想いはこちら


 

イラストを描く際にこだわっていることはありますか?

 背景に建造物や工業製品、機械などを緻密に描くことが多いですが、それらもすべてフリーハンドで描くようにしています。一見制作ソフトの直線ツールやパスなどを使って描いているように思われるのですが、それらのデジタルツールを使っては表現できない、線画の微妙な揺らぎや強弱が、完成したイラストに生き生きとしたニュアンスを与えてくれます。
 色彩については固有色にとらわれることなく、とにかくかっこいい色の組み合わせになるように考えています。また、パッと見で「何色の絵か」というのが伝わるように、ドミナントカラーをしっかり設定しています。

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「西へ向かうと言っていた」   「コバルトブルー・オーバーフロウ」

 

普段イラスト制作に使用しているツールを教えてください 。

 CLIP STUDIO PAINT EX、Adobe Photoshopを主に使用しています。作画は専らCLIP STUDIO PAINT EXです。Photoshopは、カラープロファイルの設定や解像度の調整など、印刷等の出力を見越した仕上げの工程に使用しています。

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田中 寛崇氏の仕事場


 

長くEIZOをご愛用いただいていると伺いましたが、EIZOモニターを選ぶ理由があればお教えいただけますか?

 最初はDTPのプロの現場で使われている製品への憧れからでした。デジタルでイラストを描こうと決めたときに、WacomのペンタブレットIntuos3と一緒に19型のFlexScanを購入しました。キャリブレーションセンサーまで導入する予算はなかったので、モニター前面にあるボタンから表示モードを手作業で設定してなんとか色を合わせたのですが、それでも一般的なモニターに比べて圧倒的に設定できる項目が多く、比較的思い通りのセッティングが可能でした。
 6年ほどFlexScanを使った後に、24.1型のColorEdge CX241(生産終了品)を購入しました。初めてしっかりとキャリブレーションを行い、その色表示の正確さに舌を巻きました。CX241は内蔵のセンサーを使い、あらかじめ設定したタイミングに自動でカラーモードを再調整できるので、利便性が高く、モニターに映る色を常に信じることができました。

 EIZOモニターを使う理由は、その色表示を信頼できるからです。クライアントワークでもパーソナルワークでも、基本的にはデジタルで制作したイラストは印刷し出力して発表します。印刷用のカラープロファイルの設定を済ませてしまえば、印刷の際に余計な色調補正をする必要がなく、モニターに映る色合いでそのまま出力してくれることは、イラストレーターにとっては何よりもありがたいことです。また、印刷に限らずさまざまなデジタル媒体を想定したカラーモードにも調整できます。調整後は、モニター前面のボタンから簡単に複数のカラーモードを切替えできるなど、ユーザビリティの高さもEIZOモニターを選ぶ決め手になっています。

 

ブランドメッセージの作画にあたりご試用いただいたColorEdge CS2740の使い心地はどうでしたか?

 手持ちのCX241よりも高解像度なので表示がきめ細やかで、画面サイズも大きくなった分非常に見やすかったです。
 CS2740はキャリブレーションセンサーが内蔵されていないモデルですが、その分ベゼルもスマートになっていて、筐体サイズでいうとCX241とほぼ変わらないので、現在の作業環境を変更することなく、モニターのみを入れ替えることができ助かりました。

 

今回、ColorEdgeの専用ソフトウェア(ColorNavigator 7)を使用してキャリブレーションを行っていただきましたが、その感想を教えてください。

 CX241と手持ちのEX2(キャリブレーションセンサー、後継機種はEX4)でも普段からキャリブレーションは行っているので特別難しさは感じませんでした。今回貸していただいたEX4を用いたCS2740のキャリブレーションは、EX2を用いたCX241のキャリブレーションと所要時間を比べるとかなり短くなっており、暗い部屋と明るい部屋で試しましたが、どちらも1分程度で完了したので驚きました。

 キャリブレーションは定期的に行う必要がありますが、忙しいとどうしても頻繁に行うことができません。そんな中でこれだけ早くキャリブレーションが完了するのであれば、その心理的なハードルも下がるので良いこと尽くしだと思いました。
 

キャリブレーションとは
モニターをキャリブレーションセンサーで測定し、目標値に沿って画面表示されるよう表示調整を行うこと。液晶モニターは使い続けると明るさや色味が経時変化するため、定期的な表示調整が必要になります。

ColorEdge専用のソフトウェアColorNavigator 7 でのキャリブレーションは、パソコンの出力信号を触らずに、直接モニターの表示を調整する「ハードウェア・キャリブレーション」です。データそのものの階調を犠牲にすることなく、より短時間で精度の高い調整ができます。

キャリブレーションが必要な理由はこちら
「ハードウェア・キャリブレーション」と「ソフトウェア・キャリブレーション」の違いはこちら

 

イラストを描いている中で一番楽しい瞬間はいつですか?

 シチュエーション選び、面白いアイデア、気持ちのいい色彩、魅力的な人物、ストーリーを感じられるタイトル、それらを一枚の絵に対してバチッと決められたときです。つまり、一連のイラスト制作の流れが最終的に結実した瞬間が一番楽しいように感じます。

 

イラストレーターを目指す人に向けてのメッセージ

 イラストレーターになるためには絵の上手さももちろん必要ですが、まずは”戦略”が重要です。自分はどの分野で、どんなお客さんを相手に仕事がしたいのか、なるべく具体的にイメージしてみてください。それが決まれば、自ずと必要な絵柄や技術、知識がわかってきます。
 そしてあなたの個性を磨いてください。現代ではさまざまな評価が数字で可視化され、どんなものがトレンドなのかが手に取るようにわかりますが、トレンドとは時とともに過ぎ去っていき、あっという間に古く見えるものです。

 それに対してイラストレーターというのはあくまで職業であり商売ですから、20年、30年と需要を絶やさずにいる必要があるわけです。トレンドに流されすぎないように、あなたでなければならない、あなたが一番素敵に仕上げてくれる、と思ってもらえるような個性を育てていきましょう。

 闇雲な努力で夢を叶えるのはとても難しいですが、適切な方向に適切な内容の努力ができれば、実を結ぶ可能性はグッと大きくなります。僕もまだ努力の最中です。一緒に頑張りましょう。

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「another face」

 

 

田中 寛崇氏 略歴

新潟市出身。多摩美術大学情報デザイン学科情報芸術コース卒業後、フリーランスのイラストレーターとして活動。
主に書籍、広告、パッケージなど、幅広いジャンルで支持を得ている。
代表作に『体育館の殺人』(青崎有吾・東京創元社)、『カルピス 夏季限定パッケージ』(カルピス株式会社・アサヒ飲料)、『にじさんじカバーアルバム Reflexion』(ANYCOLOR Inc.)、しながわ水族館年間ポスター など。作品集『ENCOUNTER』が東京創元社より発売中。

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