SDR / HDR設定
この章では、このモニターを映像制作用途で使用する場合の設定方法を示します。
各カラーモードについてでは、各カラーモードの用途や設定内容について示します。
設定手順では、各カラーモードを用途に応じた表示に適した設定にするための手順を示します。
ColorNavigator 7を使用した設定方法では、ソフトウェアを使用した設定手順の概要を示します。
注意点
- 設定の前に、インフォメーションを参照してモニターのファームウェアバージョンを確認してください。当社Webサイト(www.eizo.co.jp )の「サポート」から「ソフトウェア&ドライバ」を選択し、製品名を入力して検索します。最新バージョンと異なる場合、プログラムをダウンロードしてファームウェアを更新してください。
参考
- モニターの表示が安定するまでに、約3分(当社測定条件による)かかります。高精度の調整をおこないたい場合は、電源を入れて20分以上経過するまでお待ちください。
- SDRのカラーモード(「BT.2020」、「BT.709」、「DCI-P3」)とHDRのカラーモード(「PQ_DCI-P3」、「HLG_BT.2100」)を切り替える場合、モニターの調整はカラーモードを切り替えてから30分以上経過するまでお待ちください。
各カラーモードについて
映像制作用途で使用するカラーモードの種類と用途
カラーモード | 用途 |
---|---|
BT.2020 | (SDR)ITU-RのBT.2020規格で定められた色域、ガンマを再現するのに適しています。 |
BT.709 | (SDR)ITU-RのBT.709規格で定められた色域、ガンマを再現するのに適しています。 |
DCI-P3 | (SDR)DCI規格で定められた色域、ガンマを再現するのに適しています。 |
PQ_DCI-P3 | (HDR)DCI規格で定められた色域を、PQ方式のガンマ(EOTF)で再現するのに適しています。 |
HLG_BT.2100 | (HDR)ITU-RのBT.2100規格で定められた色域を、HLG方式のガンマ(EOTF)で再現するのに適しています。 |
各カラーモードを正しく設定した場合の入力信号(10ビット:0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を以降で示します。設定方法の詳細は、設定手順を参照してください。
BT.2020
入力信号(0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を示します。
入力信号がYUV形式の場合、入力信号の輝度レンジを64~940として表示するときは「入力レンジ」を「自動」に、64~1019として表示するときは「自動 109%」に設定します。
- 「入力レンジ」:「自動」

- 「入力レンジ」:「自動 109%」

設定メニューの主な設定項目
設定手順の詳細は、設定手順を参照してください。
項目 | 入力信号の輝度レンジ | 入力信号の輝度レンジ | |
---|---|---|---|
信号設定 | YUVカラーマトリクス | 自動 | 自動 |
入力レンジ | 自動 | 自動 109% | |
カラー調整 | 輝度(cd/㎡) | 100 | 100 |
色温度 | D65 | D65 | |
ガンマ (EOTF) | 2.4 | 2.4 | |
色域 | BT.2020 | BT.2020 |
BT.709
入力信号(0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を示します。
入力信号がYUV形式の場合、入力信号の輝度レンジを64~940として表示するときは「入力レンジ」を「自動」に、64~1019として表示するときは「自動 109%」に設定します。
- 「入力レンジ」:「自動」

- 「入力レンジ」:「自動 109%」

設定メニューの主な設定項目
設定手順の詳細は、設定手順を参照してください。
項目 | 入力信号の輝度レンジ 64~940 | 入力信号の輝度レンジ 64~1019 | |
---|---|---|---|
信号設定 | YUVカラーマトリクス | 自動 | 自動 |
入力レンジ | 自動 | 自動 109% | |
カラー調整 | 輝度(cd/㎡) | 100 | 100 |
色温度 | D65 | D65 | |
ガンマ (EOTF) | 2.4 | 2.4 | |
色域 | BT.709 | BT.709 |
DCI-P3
入力信号(0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を示します。

設定メニューの主な設定項目
設定手順の詳細は、設定手順を参照してください。
項目 | 設定値 | |
---|---|---|
信号設定 | YUVカラーマトリクス | 自動 |
入力レンジ | 自動 | |
カラー調整 | 輝度(cd/㎡) | 48 |
色温度 | D65 | |
ガンマ (EOTF) | 2.6 | |
色域 | DCI-P3 |
PQ_DCI-P3
入力信号(0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を示します。
ピーク輝度が1000 cd/m2のPQ方式ガンマカーブを、設定輝度が300 cd/m2のモニターに収まるように圧縮して表示する場合は、「PQ オプション」を「1000cd/㎡ Emulation」に設定します。300 cd/m2まではPQ方式ガンマカーブに準じて圧縮せずに表示し、300 cd/m2以上はクリップされた状態で表示する場合は、「300cd/㎡ Clipping」に設定します。
- 「PQ オプション」:「1000cd/㎡ Emulation」

- 「PQ オプション」:「300cd/㎡ Clipping」

設定メニューの主な設定項目
設定手順の詳細は、設定手順を参照してください。
項目 | PQカーブを圧縮して表示 | PQカーブに準じて表示 | |
---|---|---|---|
信号設定 | YUVカラーマトリクス | 自動 | 自動 |
入力レンジ | 自動※1 | 自動※1 | |
カラー調整 | 輝度(cd/㎡) | 300 | 300 |
色温度 | D65 | D65 | |
ガンマ (EOTF) | PQ | PQ | |
PQ オプション※2 | 1000cd/㎡ Emulation | 300cd/㎡ Clipping | |
色域 | DCI-P3 | DCI-P3 |
- 「自動 109%」を選択した場合も「自動」と同じ動作になります。
- 詳細はPQ オプションおよびPQ オプションの設定と表示方法を参照してください。
HLG_BT.2100
入力信号(0~1023)とモニターに表示される輝度の関係を示します。
ピーク輝度が1000 cd/m2のHLG方式ガンマカーブを、設定輝度が300 cd/m2のモニターに収まるように圧縮して表示する場合は、「HLG オプション」を「オフ」に設定します。300 cd/m2まではHLG方式ガンマカーブに準じて圧縮せずに表示し、300 cd/m2以上はクリップされた状態で表示する場合は、「HLG300」に設定します。
- 「HLG オプション」:「オフ」

- 「HLG オプション」:「HLG300」

設定メニューの主な設定項目
設定手順の詳細は、設定手順を参照してください。
項目 | HLGカーブを圧縮して表示 | HLGカーブに準じて表示 | |
---|---|---|---|
信号設定 | YUVカラーマトリクス | 自動 | 自動 |
入力レンジ | 自動※1 | 自動※1 | |
カラー調整 | 輝度(cd/㎡) | 300 | 300 |
色温度 | D65 | D65 | |
ガンマ (EOTF) | HLG | HLG | |
HLG オプション | オフ | HLG300 | |
HLGシステムガンマ | 1.2 | 1.0 | |
色域 | BT.2020 | BT.2020 |
- 「自動 109%」を選択した場合も「自動」と同じ動作になります。
設定手順
このモニターをSDRまたはHDR映像の表示に適した設定で使用するための手順を示します。
参考
- 設定メニューの基本操作方法の詳細は、設定メニューの基本操作方法を参照してください。
- ColorNavigator 7を使用したSDR / HDR設定手順についてはColorNavigator 7を使用した設定方法を参照してください。
- 用途に応じたカラーモードを選択します。カラーモードの詳細は、映像制作用途で使用するカラーモードの種類と用途を参照してください。
- 「信号設定」メニューの「入力レンジ」と「YUVカラーマトリクス」を設定します。設定内容は、各カラーモードについてを参照してください。
- 設定メニューの「カラー調整」を表示し、必要な項目の設定をします。設定内容は、各カラーモードについてを参照してください。
- 「詳細設定」の設定内容は初期設定のとおりです。詳細はカラーモードの設定値を参照してください。
参考
- 設定の前に「カラー調整」の「リセット」を実行することをお勧めします。
ColorNavigator 7を使用した設定方法
ColorNavigator 7を使用してモニターをSDRまたはHDR表示に適した設定にすることができます。次のような場合はColorNavigator 7を使用してキャリブレーションすることをお勧めします。
- 定期的にキャリブレーションしたい場合
- キャリブレーション時期を伝える通知機能があります。
- 適切にキャリブレーションされているか検証したい場合
- キャリブレーション状態を検証する機能があります。
参考
- モニターの設定メニューのみを操作する調整方法については設定手順を参照してください。
- ColorNavigator 7の詳細は当社のWebサイトを参照してください。
(www.eizo.co.jp/products/ce/cn7/ )
設定手順
- モニターの設定メニューでカラーモードを選択します。
- 設定手順の手順1を参照して設定します。
- モニターの設定メニューで「信号設定」を表示し、必要な項目の設定をします。
- 設定手順の手順2を参照して設定します。
- ColorNavigator 7を起動します。
- カラーモードリストで選択されているカラーモード上でマウスを右クリックし、カラーモードタイプを「Advanced」に設定します。
- 調整目標を用途に合わせて設定します。
- 詳細はColorNavigator 7の目標設定を参照してください。
ColorNavigator 7の目標設定
-:変更不可
| BT.2020 | BT.709 | DCI-P3 | PQ_DCI-P3 | HLG_BT.2100 |
---|---|---|---|---|---|
カラーモードタイプ | Advanced※1 | Advanced※1 | Advanced※1 | Advanced※1 | Advanced※1 |
輝度(cd/㎡) | 100 | 100 | 48 | 100 | 100 |
白色点 | D65 | D65 | D65 | D65 | D65 |
ガンマ (EOTF) | 2.4 | 2.4 | 2.6 | PQ | HLG |
PQ オプション | - | - | - | 300cd/㎡ Clippingまたは1000cd/㎡ Emulation※2 | - |
HLG オプション | - | - | - | - | オフまたはHLG300※2 |
HLGシステムガンマ | - | - | - | - | 1.0または1.2※2 |
調整方法 | 標準 | 標準 | 標準 | 標準 | 標準 |
色域(規格値) | BT.2020 | BT.709 | DCI-P3 | DCI-P3 | BT.2020 |
色域クリッピング | オン | オン | オン | オン | オン |
オプション | オン※2※3 | オン※2※3 | オフ※2※3 | - | - |
- 初期設定から変更する項目です。
- お好みや用途に合わせて設定します。
- 「リミテッド (109% 白)に最適化」の設定です。