地球

社外取締役のメッセージ

4名の社外取締役に、当社の社外取締役としての取組みや、意見・提言、今後の抱負などを聞きました。
(統合報告書2023より)

多様性を増す取締役会で、「より強い会社」へ

最近の東証による資本効率を意識した経営が求められている中にあって、やはり透明性と納得性がベースとなるコーポレート・ガバナンスがより一層重要になるものと考えます。
当社にとって特に重要なのは、取締役会の機能性発揮と人材の多様性の確保であると考えます。2022年度は女性取締役、2023年度は外国人取締役を登用し、多様化を図った当社の取締役会は、執行役員、部門長を交えたオープンな会議体であり、十分な情報共有が図られるとともに、多様な人材育成の場として機能しています。 また大変重要なトップマネジメントの指名(人材育成)と報酬に関しましては、私が委員長を務める「指名・報酬諮問委員会」にて、我々社外取締役が適切に関与・助言し議論しております。後継者問題については、社長と定期的に、また、必要な時は随時、忌憚のない意見交換を実施していますし、報酬についても中長期の経営戦略の実現を可能とする制度設計とし、透明性と納得性の高いものになっていると考えます。 一方、当社はほぼ全世界をカバーするグローバル企業であり、現地スタッフに原則としてマネジメントを任せる方針をとっていることから、グローバルマネジメントの監査体制は極めて重要です。監査等委員会としては、監査室スタッフからの報告を定期的に受けており、私自身の海外勤務等の経験も踏まえて適宜アドバイスできるよう努めています。 当社の課題は、いかに個性と魅力ある「より強い会社」を目指していくかであると考えます。強い財務基盤と自由闊達な企業風土をベースにしたサステナブルなビジネスモデルの遂行、すべてのステークホルダーの一層の重視、国際性を備えた人材の育成と多様性の尊重、特に、女性の管理職への登用は、今後の重要課題の一つです。さらに、ブランド力の向上等に役立つ非財務的価値の向上を図るべく、気候変動への継続的な対応等が大変重要です。これらの推進により、コーポレートガバナンス・コードが求める持続的成長と中長期の企業価値の向上を、より確固たるものにできると考えています。
鈴木 正晃 顔写真

鈴木 正晃

筆頭独立社外取締役

金融機関、メーカー、不動産会社等において、海外を含むトップマネジメントを経験。ガバナンスやコンプライアンスに関する豊富な経験と実績を活かし、当社の企業価値向上に貢献している。

中長期的な企業価値向上に向けた戦略策定を

取締役就任以来、年々当社に対する理解が深まる中で、当社はコーポレート・ガバナンスにおいて非常に高いレベルにあり、しっかりとした経営管理システム、企業文化が根付いた会社だと感じています。 2023年3月の東証の要請により、資本効率というテーマが急激に注目を浴びました。当社も5月に新しい株主還元方針を公表し着実に取組んでいるところですが、今後の大きな課題はROEの向上です。当社の自己資本比率は約80%と極めて高く、ボラティリティの高い世界経済情勢に対応できるよう、強靭な財務基盤は堅持するという方針のもと、分母である純資産を維持しつつ、分子である収益をいかに最大化するかといった点が大きなテーマかと思います。当社にとってROE8%は高い目標であるため、中長期的な視点に立ったロードマップ策定などを取締役会で議論していきたいと考えています。 またその他では、製品の安定供給を含むサステナビリティに対する取組みについても議論を深めたいと考えています。当社は欧州を主要なマーケットとしており海外販売比率も高い中、地政学的なリスクやそれに伴うコスト高、為替問題など様々な不確定要素を抱えており、製品の安定供給のため戦略的に在庫を保有しています。それ自体は大切なことだとは思うものの、在庫保有のリスクも検証する必要があると考えています。また、当社はサステナビリティの観点から気候変動への対策等の重要課題をマテリアリティとして特定し、数値目標を設定しました。中長期的な企業価値向上に向けて、その進捗もしっかりと確認していきます。最後に、私は社外取締役の中で唯一の地元企業出身者ですので、地元企業や行政、社員の方々との間に何か困りごとがあった時には、地元目線で自分なりに提言をしていきたいと考えています。
滝野 弘二 顔写真

滝野 弘二

独立社外取締役

金融機関でのマネジメントを経て、事業法人の経営に携わる。ステークホルダーの目線で幅広い観点から当社経営に有益な助言を行っている。

企業の成長段階に応じたマネジメントスタイル

取締役就任から1年経ち、当社は単一ビジネスではなく、いろいろな切り口でビジネスをされている会社であるという印象をさらに強く持ちました。主力商品のモニターを例に挙げると、市場(用途)、地域、ハードからシステムまでと多岐にわたっており、複雑なマネジメントが要求されると思います。そんな中、当社は自由に社員が仕事をする雰囲気の中で多様性が活かされる企業風土が自然にでき上がっており、非常にいい土壌ができていると感じます。 一方で、これから会社がさらに発展し、会社規模が大きくなってくると、従来の経営スタイルから脱皮して、どこまでを誰に任せるかというような、また違うマネジメントの方法が必要になってくるかと思います。実際、前職の村田製作所でも会社規模が拡大する中でどのようにマネジメントを変革させていくかを議論し、経営の透明化を進めてきました。そうした経験を踏まえますと会社の成長とともに社員の皆さんがどう変わられていくかが今後の課題の一つかと思います。 昨今、上場企業、特にプライム上場企業に対するコーポレート・ガバナンスを含めた非財務面での要求事項が年々厳しくなっている中で、当社規模の企業で、ステークホルダーに対して非財務面の様々なPRができているというのは非常に感心しています。さらなる成長に向けては、ヘルスケアやクリエイティブワークなど特定市場で確固たるブランド力をもつEIZOという会社を一般の方々にも知ってもらえるよう、いかに認知度を上げていくかということも重要だと思います。これからの1年は私としては、各々のグループ会社の責任者がどんな気持ちで何を目標に取組んでいこうとしているか、そうしたビジネスとマネジメントの中身をもう少しを掘り下げて理解を深め、私の経験でお役に立てそうなところを積極的にフィードバックしていきたいと考えています。
井上 亨 顔写真

井上 亨

独立社外取締役

事業法人の経営者として長年にわたり事業運営、企画、経理の業務に携わり、豊富な経験と実績を有している。また、エレクトロニクス業界で長年培った幅広い見識に基づき、当社の経営に的確な助言・監督をしている。

自由闊達なEIZOらしい職場

社外役員は当社で4社目になりますが、それぞれ業態が異なり当社についても勉強することばかりで、取締役就任から1年経ってようやく理解が進んできたところです。特に印象に残ったのは、社員の皆さんの情報や研究開発への貪欲さです。具体的には、海外拠点の立上げに際し、ビジネス上の情報収集ルートに加え、私の前職であるジェトロの現地事務所を活用されていたと耳にしたことがありました。また、現職でも産学連携のオンライン発表会を紹介したところ、当社社員がたくさん出席してくれました。このような出来事を通じ、あらゆる方面にアンテナを伸ばし、取りうる情報は徹底的に取るという当社社員の情報収集の姿勢に非常に感心させられ、素晴らしい組織だと感じています。 また、この競争の激しい業界でトップランナーを走っているのは、経営トップのリーダーシップや革新的な考え方によるところも大きいと思います。経営者の仕事の半分は後継者育成とよく言われますが、社長と我々社外取締役とで定期的にディスカッションしており、深いお考えを聞かせていただいています。 今後に向けては、女性活躍において何かしらの貢献ができたらと考えています。当社は採用・育成において男女差別はなく総合職と技能・事務職という職制を執っていますが、そうした経緯を踏まえても女性管理職比率の向上など進めていかなければならないことに変わりはありません。私が社外役員を務める別の企業において、当事者である女性社員と役員の男性とで構成される女性活躍推進会議を立上げ、議論に参画しています。それぞれの立場から「あるべき姿」を語り合う中で、長年の認識のすれ違いが発覚することもあり、1つずつ課題の解決を進めているところです。このような経験を活かし当社の役に立てることがあれば、ぜひ取組んでいきたいと考えています。
大砂 雅子 顔写真

大砂 雅子

独立社外取締役

日本貿易振興機構(ジェトロ)に長年勤務し、現在は金沢工業大学の産学連携室の教授として幅広く活躍している。これらの豊富な経験と国際経済を中心とした高度な専門性を有していることから、取締役会の意思決定の適正性を確保するために、適切な助言・監督をしている。