

写真家舞山 秀一氏
舞山氏は、ファッション業界や雑誌の広告撮影などで30年以上、第一線で活躍されている写真家です。数多くの女優、俳優、ミュージシャンなどの著名人を撮影し、写真集やCDジャケットの表紙を手掛ける一方で、作家としての活動にも邁進し、作品集の出版や写真展開催を行っています。光と影を巧みに操りモデルの一瞬の表情を捉える舞山氏に、CS2740の使用感を伺いました。
Q1.
CS2740を使用した印象を
教えてください。
長年自家現像でカラープリントをやっていたので、写真の色に関してこだわりが強く、自分の色を作る上でモニターは大切な要になります。
繊細であることは当然ながら、色空間がどれほど再現できるかとか、自分の使っているモニターがどれほどデフォルトに近いのかってことが最も重要なのです。自分の好きな色をどれだけ時間をかけて作っても、そもそも使っているモニターの色が狂っていたり、色そのものの再現力が低かったりすると、納品した後、まったく違った色で世の中に展開してしまいます。
モニターにはブレの少ないニュートラルで再現力の大きい色空間の必要性を感じているので、ずいぶん前から(ナナオの頃から)ずっとEIZOのモニターを使わせていただいています。
スタジオで撮影するときは、PCと一緒にEIZOのColorEdge CG243Wを持ち込んで撮影しているので不安はないですが、ロケの撮影ではノートPCしか持っていかないので、ロケから戻ってColorEdge CG277で写真の色を調整します。ノートPCでは見えなかった、色とグラデーションとディテールなどを現場で撮影したチャートを使い、プロファイルを作って再現をするのです。
今回新しく4KモデルのモニターCS2740が登場するということで早速使わせてもらいましたが、第一印象でいうと、色が繊細。グラデーションがかなり滑らか。カメラの画素数が上がってきているので、それに合わせた高解像度(3840×2160)で密度の高い繊細さを損なうことなく再現できることが必要不可欠になってきたのでしょう。
街中のサイネージもどんどん進化してくることが予想される今、特別であった4Kなどの高解像度が今後主流になると思うと、臆さず手に入れることを考えますね。私は現在、同じ27型でWQHD解像度(2560×1440)のCG277を使っているのですが、横に並べ2台のキャリブレーションを取ったところ、2台ともほぼ同じ色になり、解像度以外何も違和感なく使えるから本当に驚きました。左右に配置してそれぞれの特徴を生かして使いこなせば、今後の作業効率は上がることは間違いないと思います。
CS2740とCG277では解像度が違うことから、表示している写真のサイズは異なるのですが、全体的な色の再現は一緒なのに、CS2740はディテール再現の繊細さはハンパない感じがします。
その他気に入った部分は、ケーブルがUSB Type-Cになったおかげでこれまで2本必要だったケーブルが1本で良くなってシンプルになったところです。MacBook Proを使うとすれば、ノートPCにUSB Type-Cで電源供給もできるため、このシンプルさは本当に楽ですね。
Q2.
作品づくりを楽しむ皆様に
お勧めのポイントを
教えてください。
最近では、4000万画素を超える高解像度のカメラが増えてきて、ダイナミックレンジや色空間も広い。そんなカメラの性能を確実に再現するための、モニターに求められる性能は、今後ますます高くなると思われます。そんなハイスペックカメラの性能を引き出すために、CS2740は芳醇な画面で繊細に再現してくれます。
特にノートPCだけで写真の現像やレタッチを頑張っている人は、正しい色や繊細な部分を再現できるモニターを使い、大画面で操作することで世界観がまったく変わるはずです。
作品制作では、確実に自分の好みの色を作り上げることや、繊細なレタッチを行うことが、世界観の構築につながると思います。プリントするに至っても、再現力が高いプリンタとキャリブレーションに対応したモニターを組み合わせることで、思い通りの作品を生み出せるのです。
CS2740は、4Kであるのに価格も抑えられていて、求めやすいのは良いですね。何より便利なのは、ケーブルが、USB Type-Cになって電源供給できるし、接続が簡単になったことです。
できることならセンサーの購入も一緒に考えてみた方がいいと思います。性能を思う存分発揮できます。モニターのキャリブレーションは面倒くさいし大変ですが、確実に行うことでデフォルトをキープでき、自分らしいカラーを見つけて行くことが簡単になるはずです。