水谷 たかひと
MIZUTANI TAKAHITO
スポーツを被写体に日本を代表する写真家として活躍する水谷氏は、日頃から作品づくりにColorEdgeを愛用しています。また、世界各国においてColorEdgeを愛用するプロフェッショナルを紹介する海外市場向け企画「ColorEdgeグローバルアンバサダー」でアンバサダーも務めています。水谷氏に、新製品CS2731がどう映ったか、率直なご感想をご覧ください。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
カラーマネージメントモニターColorEdge CSシリーズの新製品が出た!ということで、早速使用してみました。普段はColorEdge CGシリーズを愛用しており、CSシリーズを使用するのは初めて。ワクワクしながら開封してデスクトップへ!
「おぉ!スタイリッシュ!!!」27型なのですが、大きさや奥行きも全く気になりません。性能はもちろんのこと、僕は見た目も気にするタイプなので(笑)これは嬉しい。かっこいいです。 CS2731の最たる特長は、USB Type-C端子が付いていること。なんと同端子が付いているパソコンとではケーブル一本で簡単に接続できるのだ。 今回はノートパソコンとUSB Type-Cで接続しました。
僕はスポーツ写真撮影がメインで各地を飛び回っており、スポーツイベントの速報という形で写真を配信しています。デスクトップパソコンも使用していますが、ノートパソコンの使用率が非常に高いわけです。 僕のノートパソコンの一番の不満点、それはモニターでして、約13インチと小さく解像感もお世辞にも良いとは言えません。急ぎとは言え、そんなモニターで画像処理をして配信するのが気になってしょうがなかったのです。
超速報以外の作業は、事務所に戻り、ノートパソコンから莫大なデータをデスクトップパソコンに移して作業しております。 急いでいる中、データを移す手間もあるし、時間ももったいない。直ぐに作業を始めたいと常々思っておりました。 そんな中、パソコンと簡単に接続可能なCS2731が出た次第でして大変興味を持ったわけです。
では接続
「え・・・えぇ!!!めちゃくちゃ簡単」これ、まじりっ気ない正直な感想です。接続したら直ぐノートパソコンの画面がCS2731に映し出されるじゃありませんか!今までのイメージとは全く違う。配線ガチャガチャして設定が上手くいかなかったりして、正直面倒と思っておりました。何もストレス感じることなく接続完了です。
映し出される画像はさすがEIZOモニター。色調が撮影時に意図したとおりに表示されるので、安心して作業に取り掛かれます。CS2731は、カラーマネージメントモニターとして従来の機能は全て継承しており、データに忠実な色再現を可能としております。モニターの性能は文句なしです。 これで超速報のような写真は現場で配信して、二次使用的な写真は事務所に戻り、ノートパソコンをCS2731に簡単接続し、大画面で画像処理をして配信できます。いや~ノートパソコンで不満だった点が解消された感じで嬉しい限りですよ。
それとなんと!モニターからUSB Type-C経由でパソコン本体に電源供給されるのです。ノートパソコンに電源ケーブル挿さなくて良いので、配線は尚更スッキリなのです。 本当にケーブル一本で簡単接続できる。皆さんも僕と同じように感動するはずですよ!
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
ノートパソコンしかお持ちになられていない方に絶対お勧めします。「配線が、設定が・・・ちょっとねぇ」と僕も正直感じます。それがCS2731では簡単に解消されるのです。27型のモニターですので、ノートパソコンの小さいモニターを凝視することもありませんし、きちんとした画像処理が可能になること間違いなしです。
簡単ケーブル一本で、高性能・ハイセンスなデザイン・コストパフォーマンスに優れたCS2731に接続して、ご自身が撮った写真に新しい発見や感動を是非手に入れて欲しい。より楽しい写真ライフを広げてください!!!
Q3. 次に試用いただきたい写真家を指名お願いします!
EIZOカラーマネージメントモニターのことなら、この方!諏訪光二さんにレビューをバトンタッチします。僕にEIZOモニターの素晴らしさを教えてくれました。EIZOモニターの隅々まで理解して使い込んでいる達人ですね。
試用の様子と水谷氏の作品
諏訪 光二
KOHJI SUWA
諏訪氏は、自然を作品モチーフにした作品を国内外に発表しています。早期にデジタルフォトを取り入れた数少ない写真家であり、十何年に渡り、作品づくりにColorEdgeを愛用いただいています。また、デジタル機器に非常に明るく、写真専門誌での随筆やご講演等を通じ、写真業界に広く情報発信をされています。長年のユーザーである諏訪氏の鋭い目に、新製品CS2731がどう映ったか、ご覧ください。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
私はメインではColorEdge CG318-4Kを使用していますが、ツイン、あるいはトリプルモニターとして複数台のモニターを使用し、サブモニターには旧機種ColorEdge CG275Wなどを使用しています。しかしCG275WはCG318-4Kと比べてしまうと像の安定などでは時代を感じるものとなっていました。
今回CS2731が届いたらすぐに箱から出してセッティング。USB Type-Cでのモニター出力ができるパソコンなら接続はケーブル1本。これはいいですね。今後はUSB Type-Cでのモニター出力をはじめ、給電する周辺機器も増えてくるはずですので、これはポイント高いと思います。
すぐに電源を入れてみると、まだ何も調整していないのにさすがに色味がしっかりしています。隅々までムラがなく、色や階調の再現性はもはや私が説明するまでもなく非常にクオリティの高いもの。ColorNavigator 7と測色センサーを使用して早速キャリブレーションを行い、プリント作業をしてみると、CS2731とプリントの色がバッチリ揃っています。
長時間作業でも使ってみて分かったことは発熱量の少なさ。バックライトが蛍光管だった頃の旧機種CG275Wは1時間も使っていると上部がかなり熱くなり、長時間作業を行っていると部屋全体が暖まってしまいますが、LEDバックライトのCS2731はほんのり暖かい程度。作業性には関係のないことではありますが、エアコンの温度設定に影響しますので省エネにもなりますね。
このようにCS2731はすべての面で高いクオリティを見せてくれました。CG318-4Kといった上位モデルは性能的に皆さんにも使っていただきたいものですが、コストなども含めると簡単にはお勧めしにくいところもあります。CS2731なら、初心者からプロまで安心してどなたにでもお勧めできます。
似たようなスペックのモニターは他社にもないわけではありませんが、細部のクオリティがまったく異なります。まずはColorEdgeのクオリティを体感してもらいたいですね。そのファーストColorEdgeとして、このCS2731は最適なモデルと言えるでしょう。
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
デジタルで写真を楽しむためにはなんと言ってもモニターが重要です。私のようにRAWで撮影して自分で細かく作り込む方はもちろんのこと、JPEGで撮ってカメラの色味を生かして作品を作る場合も確認はモニターで行います。
せっかくカメラが高性能化し、ダイナミックレンジが広がってもそれを表示できるモニターを使わなければ正しい調整ができなくなります。これはフィルムで撮影してデジタル化する場合も同様です。モニターがしっかりしていないと、まともな作業ができないばかりか、画や機材の善し悪しも判断できないのです。
またプリントして作品を仕上げる場合には、モニターでどこまで出力結果が忠実に再現できるかもポイントになります。作業性に大きく影響するからです。テストプリントを繰り返して、印刷結果を見ながら作業をすることを勧めていますが、それでもモニターで事前に正確に仕上がりを確認できればテスト枚数は少なくなりますし、コスト的にも有利になります。
モニター環境が整っていないと高価な高品位の用紙は使いにくくなってしまうでしょう。良いモニターを使って作業することはトータルでのコストを下げることができるはずです。
私はいつも言っていますが、初心者の方こそ、早く良いモニターを購入して作業をしてほしいと思います。我々のようにたくさんプリント作業をこなしてきた人は、多少モニター表示がズレていてもある程度は"勘"で修正できるのですが、慣れてない方ほどモニター画面を見ながら作業を行うはずです。
カメラやレンズと一緒にモニターも良いものを早めに導入することがクオリティの高い作品を作成するためのポイントといえるでしょう。繰り返しになりますが、そのための最初の一台としてCS2731は最適なモニターといえるでしょう。
Q3. 次に試用いただきたい写真家を指名お願いします!
敢えてColorEdgユーザーではない藤村大介さんを指名します。藤村さんの写真は夜景など暗部も多く階調がキモになることが多いと思うので、彼がどういう評価をするのか気になりますし楽しみです!
試用の様子と諏訪氏の作品
藤村 大介
DAISUKE FUJIMURA
藤村氏は、海外500都市以上を取材し、世界の街並みや世界遺産・風景・夜景・民族・建築などの幅広いジャンルにおいて、作品を発表されています。また、日本で夜景写真を広めた第一人者でもあります。繊細な光の表現を極めた藤村氏の目に、新製品CS2731がどう映ったか、ぜひご覧ください。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
実を言うと僕はiMacとMacBook Proを使っているので、モニター単体を使用するのはとても久しぶり。10年ほど前まではColorEdgeシリーズを使っていましたが、Macの新製品が出る度にPCを買替えているうち、単体のモニターをセッティングしたりキャリブレーションしたり、というのが面倒になり、現在に至るという面倒くさがり屋なのです。
諏訪さんからリレーのお話を伺った時、正直なところ僕のような者でもいいのかな?と戸惑いましたが、久しぶりにEIZOのよさを、しかも最新モデルで体験できることに惹かれ、試用することにしました。
今回は主にMacBook Proで使ってみました。まず驚いたのは、USB Type-Cで接続するだけで、何のセッティングも要らない!ということ。なんじゃ?こりゃあああ!!という感じでした(古い?)。昔使っていたColorEdgeは、接続やらセッティングやら、少し面倒で使えるようになるまで時間がかかった覚えがあります。でも、これは・・・。1秒。挿すだけですから・・。接続されたUSB Type-Cケーブルからは給電もされ、MacBook ProにはACアダプタが要らないのもありがたい。モニターの裏側ってケーブルでゴチャゴチャになりますよね。CS2731なら超スッキリです。モニターに関しては素人同然の僕でも、これは簡単!!というか、説明書不要です(笑)。
僕の作品で知られているのは世界の夜景なのですが、スナップショットも撮影します。特に街中や路地裏で撮影すると輝度差が大きい場合がとても多く、コントラスト重視のモニターでは、撮影データの細部やトーンが正しく確認できません。今までそこが悩みだったのですが、CS2731の階調再現性は素晴らしく、「ここ、写っているはず!」という部分がちゃんと見えてくれます。
夜景に関しては、ハイライトからシャドーまでの輝度差が非常に激しく、白飛びと黒つぶれのない夜景写真は存在しません。街灯などの点光源が白飛びすることは仕方ないのですが、シャドーの中には風景を取入れたいと思い、撮影しています。暗部の中の風景がCS2731では見えてきます。現像の段階で「そうそう、ここにこれがあった!」と思い出させてくれます。暗部の微妙な再現ができるからこそ、作品づくりに没頭できるのです。素晴らしいですね。
もちろん作業用のカラーマネージメントモニターですから忠実な色再現は必須です。Adobe RGB色域が99%カバーされているというCS2731には、トーンの中に表情を写すことができます。作家が写した表現を、きちんと表示してくれるのです。これはありがたいですね。
夜景作品には非常に多くの「色」を使っています。夜の鮮やかな色は、色域の端の方にあります。撮影時にAdobe RGBを使い、なるべく多くの色を記録し、それを再現せねばなりません。印刷にするのかプリントにするのか、それともWeb展開をするのか、最終的な媒体は変わってもそこに行くまでのプロセスで意図した色が見えなければ表現はできません。それを可能にしてくれるのがCS2731と実感しました。
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
もちろんノートPCと接続してCS2731を使用するメリットは大きいでしょう。画面も大きいし、そもそもほとんどのノートPCのディスプレイの色なんて、あてになりませんから。
一方で、モニター一体型デスクトップPCと並べて使用するのもいいと思います。Photoshopや他の画像処理ソフトなどを使っていると、どうしても作業スペースに限界があり、画面上でファイルがお祭り騒ぎになってしまっていることが多くあります(僕だけ?)(笑)。パレットやフォルダ、ファイルなどは元来のモニターに表示し、調整具合はCS2731で確認する環境は理想的です。CS2731は、プロ写真家やクリエイターと同じ環境を簡単に1秒で構築できる、そんなモニターです。
プロはもちろん、アマチュアの方にもお勧めします。
特に、写真コンテストや展覧会などに参加する方は、絶対にお勧めです。僕はコンテストの審査もしていますが、審査のほとんどはプリントです。内容はもちろんですが、プリントの良し悪しが審査結果に影響することは、当然あります。ちゃんとしたプリントを作るためには、いい品質のモニターが必要なのです。
この記事を読んだ僕の生徒さん達は、早速何人か買うでしょう、おそらく(笑)。
Q3. 次に試用いただきたい写真家を指名お願いします!
せっかく色再現に優れたモニターを使ってレビューを書いてもらうなら、色にこだわっている写真家にお願いしたいと思い、今回はミゾタユキさんにお願いします。
試用の様子と藤村氏の作品
ミゾタユキ
YUKI MIZOTA
ミゾタユキ氏は、北海道での観光写真業をきっかけに本格的に写真活動を始め、カメラマンアシスタントを経て現在はフォトグラファーとして、猫や動物、旅先など日常で見つけた小さな情景を作品として撮り続けています。また、カメラ誌や書籍の執筆を通じて、写真の楽しさを伝える活動にも従事されています。長年ColorEdgeをご愛用いただいているミゾタユキ氏に、新製品CS2731がどのように映ったか、ぜひご覧ください。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
愛用しているCG222Wは気づけば約10年。長く使用できるのがEIZOのいいところですが、そろそろモニターを見直してもいいタイミングでした。
届いたCS2731を設置するところから大きな違いに衝撃です。モニターの台座が回転し、背面はケーブルの位置がアイコンで表示されていて接続が簡単に。従来はモニターの背面下部にUSBハブが付いていましたが、CS2731はモニター側面にもUSBハブが付いているので、キャリブレーションをする度にモニターの背面を下から見上げて差込口を探さなくていいので画期的です。新しいColorNavigator 7でキャリブレーションをすると、今までの1/5の速さであっという間に準備ができました。
写真の現像では自分のテイストになる描写感、ホワイトバランスや明るさなどを設定して撮影した写真をよりイメージ通りに仕上げていきます。例えば、階調をゆるくしてトーンをなめらかにしたり、色のグラデーションの広がりや色相の微妙な調整をします。CS2731は画面に明るさや色のムラがなく、Adobe RGB色域を99%再現できるので、柔らかい光やトーンを確認することも安心です。
今回、調整確認のために2画面表示をしたまま部分拡大したところ、CG222Wよりも表示エリアが広くて見やすく、モニターサイズが大きいだけで判断するスピードも速くなることを知りました。
また、現像した写真をUSBメモリーにコピーをするときに、PCではなくモニター側のUSBハブに接続してみたら意外とラク。テーブルの下に置いているPCよりも、目線の高さで作業ができるのも便利でした。実際に新しいモニターを使ってみるといいことばかり。画面の広さやUSB端子が抜き差ししやすいことも作業のスピードアップにつながることを実感です。これだけラクになれるなんて!CS2731は忠実な色再現ができるモニターであると同時に使いやすさが盛り込まれていると思いました。
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
CS2731は大きいけれど見た目より軽く、台座も回転するので接続や位置の微調整も簡単です。カラーマネージメント対応モニターを使用すると、プリントをしたときに、撮った写真データと色や明るさが違う!ということもなくなります。カメラの買替えサイクルよりもずっと長く使えるというメリットもあります。
ノートPCにUSB Type-Cがあればケーブル1本で繋げて画面を拡張でき、USBメモリーを差し込む時も、モニター側面にあるUSBハブに接続すれば、簡単に写真データをコピーできるので使いやすく感じます。表示色もAdobe RGBを99%カバーする広色域のほか、10-bit出力に対応したグラフィックボードと画像ソフトがPCにあれば、今までの8-bit 約1677万色と比べて約10億色から選択して色再現できます。現在の私の環境では試すことができませんが、こだわり派の方に魅力的なポイントだと思います。
また今回のリレーでは使っていませんが、アクセサリの遮光用モニターフードもおすすめです。外光の反射を防ぐほかに、カメラでファインダーをのぞくような感覚で集中して写真に向き合えると思います。
Q3. 次に試用いただきたい写真家を指名お願いします!
雷や雷雲を追いかけて作品を撮っている青木豊さん。現実的でありながら迫力のあるコントラストと階調表現が独特なのでおもしろいと思い、お願いしたいと思いました。
試用の様子とミゾタ氏の作品
青木 豊
YUTAKA AOKI
青木氏は、雷との出会いをきっかけに独学で気象学を学び、竜巻や雷・雹(ひょう)などの荒々しい気象現象を追跡し、撮影しています。日本で唯一のストームチェイサーとして、自然界の緊張の一瞬を捉える青木氏に、新製品CS2731がどのように映ったか率直な感想を伺いました。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
私は激しい気象現象など、一般にはあまり馴染みのない被写体を撮影して、主にメディアや研究機関などに提供しています。テレビや新聞では、夕方のニュースで使いたいので16時過ぎまでに!等々、データの正確な色よりも、スピード感を要求されます。一方、研究機関ではRAWファイルでの提出が義務付けられているので後処理は不要、それよりも撮影場所の正確な座標や撮影時のデータが重視されています。そんなわけで、これまではPCをはじめ後処理に関わる機材には無頓着でした。
最近老眼も進んできたし、ノートPCの小さいモニターでは見づらいなと思っていたところ、タイムリーにColorEdge CS2731のレビュー企画の話が飛び込んできて、二つ返事でお引き受けしたのでした。今回はモニターと同時にUSB Type-C対応の最新のノートPC、マウスコンピューター社の「m-Book U400S」もお借りして、両者をつないだ環境で実際に使ってみました。
> m-Book U400Sの詳細情報はこちら[株式会社マウスコンピューター Webサイト]
そして製品が届き開封の儀、試用とはいえ開封はワクワクします。元々アナログ人間な私は、PCやモニターのセッティングが大の苦手です。そんなアナログおじさんの救世主、CS2731はUSB Type-Cのケーブル1本でノートPCとの接続が完了!ケーブル1本でノートPCへの給電まで行えるとは驚きです。これは簡単だ!EX4センサーでキャリブレーションをした後、早速CS2731を試用してみました。
最初に違いを感じたところは、輝度差が大きいシーンでもグラデーションが滑らかでムラなく表示されること。そして細かい稲妻の枝分れがハッキリ見えることに驚愕。これまではプリントして初めて気が付いていたような極細の枝分れが、モニター上でハッキリと確認することができました。今まで、見えて当たり前のものが見えていなかったんですね。用途に合わせたモニター選択の重要性を再確認しました。
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
ここ数年、ありがたいことに美術館や防災施設などで、写真展を開催する機会が増えてきました。作品づくりにインクジェットプリンタを使用していますが、上記の通り、後処理に無頓着な私は生みの苦しみを味わうことになりました。なかなかイメージ通りの色でプリントできず、RAW現像に長時間を費やし、テストプリントに明け暮れる日々。2L程度の試し刷りならまだしも、A3以上で失敗を繰り返すと泣きたくなります。やはり、撮影した写真データを正しく表示できるモニターが重要です。
正しい表示はもちろんのこと、広い作業領域も効率アップに繋がります。夜間にバルブ撮影をすると熱ノイズが出てしまいますが、カメラ側でノイズリダクションをかけると撮影効率が落ちるので、雷撮影時にはオフにします。作品づくりの際には、撮影後にひとつひとつスポッティングツールで熱ノイズを消していきます。等倍表示でスクロールしながらの作業は気が遠くなります。画素数にもよりますが1枚あたり30~40分程、10枚も処理すると頭痛がしてきます。ですが、27型2560×1440高解像度のCS2731なら、スクロールの回数も減り、「あれ?どこまでやったかな?」ということも減って作業時間も短縮できます。まさにいいこと尽くめ。
また、スポッティングツールはPCの処理能力も大きく影響するのですが、m-Book U400Sは処理速度が落ちることなく、スムーズに作業することができました。普段使用しているノートPCだと、数枚処理すると速度が落ちて、ストレスMAX!なことが度々ありました。やはり、カメラ、レンズ、モニター、PC、バランスよく揃えてこそ、本当に写真を楽しめるのだなと思いました。
Q3. 次に試用いただきたい写真家を指名お願いします!
ColorEdgeユーザーであり、RAW現像のスペシャリストである横山 崇さんにバトンを渡します。 ユーザーならではの視点でお願いします!
試用の様子と青木 豊氏の作品
横山 崇
TAKASHI YOKOYAMA
横山氏は、現在フリーランスのフォトグラファーとして、広告撮影やフォトブック制作、イベント撮影など多方面で活躍されています。株式会社市川ソフトラボラトリーにてRAW現像ソフトウェアSILKYPIXを担当していた経験から、専門知識を活かしたセミナーや講演活動のほか書籍・ブログの執筆など幅広く情報発信しています。長年ColorEdgeを愛用する「色」のプロフェッショナル、横山氏にCS2731の魅力を余すところなく伺いました。
Q1. CS2731を使用した印象を教えてください。
■魅力的な27型の大画面
まず一番最初に気になった部分は「27型」の画面サイズです。現在、私は事務所に「ColorEdge CX241(24.1型)」、スタジオに「ColorEdge CS230(23型)」を使用しています。以前から27型の画面サイズに魅力を感じてはいたものの、大きくなるので設置できるスペースがあるかどうかが悩みでした。
お借りした「ColorEdge CS2731」を箱から出した時の第一印象は、ベゼル(モニターの枠)が細く、画面サイズのわりにモニター全体の大きさは意外とスリムで、実際CS230(23型)が置いてあった場所を少し広げるだけで、圧迫感なく収めることができました。
次に画像を表示してみると、写真が高精細に見えます。これはCS2731の画面解像度がフルHD(1920×1080)よりも少し大きな「WQHD(2560×1440)」であり、1ドットが現在使用しているモニターよりも小さくなったためなのかなと思っています。
例えばデジタルカメラのEVF(液晶ファインダー)も解像度が高くなり、高精細になると立体感を強く感じてピントが掴みやすくなったりする場合がありますよね?それと同じように液晶モニターも画素ピッチが小さくなることで写真の見え方も、よりリアルに見えてくると感じました。
撮影した写真の中から目的のカットを選び出す「セレクト」と呼ばれる作業の効率もよくなりますね。取材系などで一日密着の撮影をしていると、撮影枚数も数千カットほどになる場合があります。撮影後はセレクト作業を行うわけですが、セレクトは撮影と同じくらい大切な作業です。
せっかく撮影した写真でもその中からベストカットを選び間違えると無駄になってしまいます。ノートパソコンの小さな画面では、例えば人物の微妙な表情の違いや質感の繊細な描写などをチェックするには、画面の拡大/縮小表示などの手間がかかりますが、CS2731は大きな画面で確認できるのでとても効率よくセレクトできました。
また、セレクトでは大量の写真をチェックするので、パソコンの処理速度もかなり重要になってきます。相変わらずカメラの画素数はどんどん増えているのですが、一枚の写真のデータ容量が大きくなると画面を切替える際に読込みで待たされたりしますよね。そうなってくるとセレクト作業のテンポも悪くなってきますし、まさに苦行になってしまいます。
今回お借りした「DAIV-NG5810」はさすがに第9世代Intel(R) Core(TM) i7※のハイパフォーマンスモデルのCPUを搭載しているだけあって、3000万画素オーバーのRAWデータでも快適にプレビューできました。実はマウスコンピューターのDAIVシリーズはCP+2018のマウスコンピューターブースでセミナーを行ったり、FUJIFILMの運営する写真講座AcademyXで使用したりと、以前から仕事では使わせていただく機会がありましたが、処理速度ももちろんですが動作が安定していていいですね。
※ Intel(R) Core (TM)i7 - 9750H
ノートパソコンのCPU換装は現実的に難しいので、購入時には余裕を持ったスペックのものを選ぶといいかも知れませんね。
また、CS2731はソフトウェアのメニューやコントロールを表示した状態でも、A3プリントの大きさ原寸で表示できるのは、やはりありがたいです。SILKYPIXやPhotoshopなどの写真編集はもちろん、デザインの仕事でA4見開きの印刷物を制作する際などは、画面をスクロールしなくてもレイアウト全体を見渡すことができ、とても作業が楽になり、またミスも少なくなるのではないかと思います。
■自分の「目」を活かせる安心・信頼の正確な色再現性
EIZOのColorEdgeシリーズは本当に信頼できます。
私が液晶モニターを選ぶ際に特に気をつけていることは、主に4つあります。
・視野角特性
画面の正面以外から液晶モニターを見たときの色や明るさの変化がどれくらい少ないか。
・画面の均一性
画面に色や明るさのムラがないかどうか。パソコンのデスクトップの背景を単色のグレーなどに設定するとわかりやすいと思います。
・階調の連続性
グラデーションの繋がりがよく、綺麗に再現できているかどうか。グラデーションに縞模様などが発生していないかどうか。
・色の正確性
目的※に応じたカラーマネージメントを行った際に、正確な色を表示できるかどうか。
※ 印刷やWeb用など目的に応じて基準となる色や明るさは異なります。
CS2731は各項目すべてに満足できる結果で、安心して編集作業ができそうです。
画像編集ではよく「RGB値」や「ヒストグラム」など数値での調整項目が出てくるため、それらが重要と思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか?確かに商業印刷などではそのような側面もあります。
しかし、写真作品づくりにおいて、どのように仕上げるかは数値ではなく、ご自身の「目」による判断で決めることが最終的に大切になってきます。CS2731の色はとてもデータに忠実で、キャリブレーションを行うことで、画面で見た色とプリントや印刷物の色をかなり近づけることができます。そのため、画面上で仕上がりのイメージを確認しながら見た目や感覚で編集作業ができるので、自分のクリエイティビティやイメージを最大限写真に反映できると思っています。
■キャリブレーションのスピードにびっくり!
キャリブレーションの際に使用する別売りの測色器が「EX4」と呼ばれる新しいものになり、キャリブレーションにかかる時間が今までの1/5程度になったとの噂を耳にしていたので、こちらにも興味がありました。実際にキャリブレーションを実行してみるとあっけなく終わってしまったため、エラーか何かで途中で終わってしまったのかと勘違いしましたが、しっかり調整されていて驚きました。
「EX4」はセンサー部分が、前モデルのフィルター方式からレンズ方式に変わったのは精度面から見ても耐候性から見ても良い進化ですね。しかも価格はほぼ据え置きで!
■一台で色々な用途に使える
フリーランスでカメラマンをしていると、商業印刷用の写真はもちろんのこと、Web用に使う写真からホームページの制作まで写真に関連する色々な仕事を依頼される場合があります。その場合にもColorEdgeは無償の専用ソフトウェア「ColorNavigator」でその目的に合わせた表示に簡単にセッティングできるので以前から非常に重宝しています。
例えばCS2731は色域(色の再現できる範囲)がAdobe RGBカバー率99%の広色域なので、商業印刷やインクジェットプリントの作品づくりなどはこれで行います。
しかしWeb用の写真やホームページ制作ではWindows OSが標準としている色域sRGBが基準となるため、「ColorNavigator」でモニターの設定をsRGBに切替えて使ったりします。
印刷物の場合は、印刷とモニターの色を比較して色のズレを判断することができますが、ホームページ制作などの場合は画面上で色を作りこんでいきます。色の比較対象がないので、モニターが表示する色の信頼性だけが頼りです。私はColorEdgeをマスターモニター(sRGBの基準)として使用しています。
■ノートパソコンと外部モニターの連携
スタジオではノートパソコンを使用しています。ロケなどに持ち出す場合もあるので、ノートパソコンの方が都合がよいのです。スタジオに帰ってくるとColorEdgeに繋いでそのまま編集作業を行う運用です。
ノートパソコンの多くはネット閲覧用だったり、事務作業用だったり、低消費電力モデルの場合が多く、画素数の増えてきた最近のデジカメの写真や動画を編集するにはスペックが不足していて処理に時間がかかるなど、画像編集に適したモデルが少ないのが現状です。
そのため、ゲーミングPCの中から画像編集に使えそうなスペックのもので代用したりしていましたが、液晶画面が光沢だったり、色も鮮やかに誇張され過ぎたりと、なかなか満足のいくものには出会えませんでした。「DAIV-NG5810」の液晶画面は、撮影の現場で自分やお客様がおおまかに写真チェックをするのには申し分ないクオリティだと思います。
話は変わりますが、現在RAW現像ソフトSILKYPIXの使い方動画を作ってYouTubeの自分のチャンネルで公開しています。
> 横山氏のYouTubeチャンネル
外部モニター(ColorEdge)にRAW現像ソフトを表示させ、ノートパソコン側は画面を動画でキャプチャーするソフトなどを表示させています。ゲーム実況の収録に似ていますね。
RAW現像ソフトはCPUの使用率が高いので、他のソフトウェアを起動するとどうしても動作が遅くなりカクカクしてしまう場合がありますが、動画キャプチャーのエンコードを「DAIV-NG5810」のGPU「NVIDIA(R) GeForce RTX(TM) 2060」に処理させ負荷分散させることで、1080p/60fpsでの撮影も滑らかに行うことができました。
Q2. 写真を楽しむ皆様にお勧めのポイントを教えてください。
まず、現在ノートパソコンを使われていて写真の編集作業時にモニターが小さく感じる方はCS2731を外付けモニターとして繋いでみることをお勧めします。パソコン側にHDMIやUSB Type-Cなどが付いていれば設定も簡単です。画面が大きくなるだけで編集作業のストレスもかなり軽減され、もっと写真を楽しめるのではないかと思います。
次に液晶モニターとプリントの色が合わずにお悩みの方もCS2731でカラーマネージメントを行ってみることを勧めします。
写真撮影や画像編集が、正解のない「クリエイティブ」な作業なのに対して、カラーマネージメントは、「設定」を基準に合わせる作業なので、仕組みを理解し、決められた手順通り設定を行えば誰でも同じように色合わせができると思います。
そこで、上でもご紹介しました専用ソフトウェア「ColorNavigator」は設定も簡単で、使い方さえ理解すれば専門的な知識がなくても、カラーマネージメントを行うことができます。
もし、使い方に悩まれている場合にはショールームや全国各地のイベントで行われているEIZOのカラーマネージメントセミナーに参加してみるとより理解が深まると思います。実際に私もそのような場で色々勉強させていただきました。
最後に個人的なお勧めのポイントとしては長く使えることです。
液晶モニターは稼働時間による経時変化でパネルの特性や色も変わってしまいます。「ColorEdgeシリーズ」はキャリブレーションすることで、この色の変化を本体の特性ごと校正できるハードウェア・キャリブレーション対応なので、最善の状態を長く保つことができます。
この辺りの長く付き合える「信頼性」がEIZOモニターの一番の魅力だと思いますので、皆様もぜひ使ってみてください!