ボノボ
コンゴ民主共和国・コンゴ川流域
アフリカ大陸の真ん中に位置するコンゴ民主共和国。
ここには、この国だけにすむ大型類人猿のボノボがいる。
ボノボが新種として認められたのは1929年で、まだ100年も経たないゆえに、「最後の類人猿」と呼ばれている。
見た目が似ているので、それまでは風変わりなチンパンジーだと思われていた。
僕は彼らのすむジャングルを訪れてみた。
ボノボのすむ森へは、首都のキンシャサからセスナや車を使い、何日もかかってようやく辿り着いた。
森のなかはうっそうとして起伏が激しく、歩くのも困難だ。
絡みつくやぶをかきわけ、汗だくになりながら進む。
しばらくすると樹上にいるオスのボノボを見つけた。
じっと見つめてくるボノボを刺激しないように僕は動きを止めて、静かにじっとしていた。
どれくらいの時間が経っただろうか、ボノボはふと警戒をといたような表情で僕から目を離し、くつろぎ始めた。
そばにいることを許してもらえたようで、少しうれしかった。
そしてその瞳から、彼は僕らとおなじヒトなのだと感じた。
帰国する直前、僕はマラリアにかかってしまった。
繰り返し高熱が出てフラフラになり、意識も朦朧としてきた。
命に関わる状況であったが、幸いにもマラリア薬を持っていたので、すぐに飲んで大事にはいたらずにすんだ。
首都へと戻るセスナの窓から、にぶく霞むコンゴ盆地を見つめながら、ほんのわずかでもボノボに出会えた幸運をかみしめ、僕は帰国の途についた。






