ベアードバク
コスタリカ・コルコバード国立公園
コスタリカは中央アメリカにある小さな国。
赤道から少し北に位置し、南は太平洋、北はカリブ海に挟まれている。
小さな国土ながら、熱帯の海から標高四千メートルにも迫る冷涼な山岳地帯まで続く、変化にとんだ環境を有している。
地球上の生物の約5%が生息するとされ、環境保護を優先し、軍隊を持たず、世界のなかで率先して平和な国づくりを実践している。
そんなコスタリカには、見た目も習性も個性的な生き物たちがたくさんすんでいる。
ベアードバクもそのうちの一つ。
ウマのようでもあり、ブタのようでもあり、なんだか色々な動物がごちゃまぜになったような不思議な生き物だ。
バクのすむ海辺の森は湿度が高く、ものすごく暑いので、日中は森のなかで寝ていることがほとんど。
僕は早朝の海岸で、バクが出て来るのを待っていた。
しばらくすると、遠くの方から波打ち際を歩いてくるバクの姿が見えた。
けっこう体が大きく、歩くのもなかなか速い。
ときどき、プールのような潮溜まりに体を沈めている。
体温を下げるのと、寄生虫などを取るためだろう。
カメラを構える僕をちらっと横目で見て、真横を通り過ぎて行った。
生命力がみなぎり、独特なオーラを放っている。
日本では、バクは夢を食べる動物と伝えられている。
現地の人に聞くと、そんな話は聞いたことがないと言われた。
獏(ばく)は、昔の中国で生み出された伝説の生き物だが、一説によると、本物のバクがモデルになっているとも言われている。






