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隈研吾建築都市設計事務所 様

  • 下記の記事は2019年11月7日に「CGWORLD.jp」に掲載されたものです。

隈研吾建築都市設計事務所・CGチームの制作環境に
劇的な変化をもたらしたEIZO「ColorEdge CS2731」

 

銀座・歌舞伎座や日本橋三越本店のリニューアル、現在建設が進んでいる新国立競技場など、その土地の環境・文化に溶け込む建築を目指し、数々の作品を実現し続けている隈研吾建築都市設計事務所。一流の建築事務所として耳目を集める同社は、CGチームを社内にもつという業界でもユニークな体制を採っている。今回、そのCGチームにEIZO「ColorEdge CS2731」(以下、CS2731)が8台一斉導入されたということで、その経緯と使用感を聞いた。

TEXT_林 和哉 / Kazuya Hayashi
PHOTO_蟹 由香 / Yuka Kani、弘田 充 / Mitsuru Hirota

松長知宏/Tomohiro Matsunaga(隈研吾建築都市設計事務所)
kkaa.co.jp

 

 

3Dで設計された建物に"質感"を与えるのがCGチームの仕事

近年BIM(Building Information Modeling)の普及により、急速に3DCG化が進む建築分野。隈研吾建築都市設計事務所においてもその流れに漏れず、設計チームは3Dモデルをつくり設計を進めているという。今回EIZOのColorEdgeモニタを導入したのは、設計チームとは別のCGチームと呼ばれる部署だ。建築事務所のCGチームというと、どんなことをする部署なのだろうか。  
隈研吾建築都市設計事務所 外観

 

「設計スタッフが作成した3D建築モデルに対して、素材感や光の入り方などを加味した完成予想の建築パースを作成することが、CGチームの主な業務です」と、CGチームの設計室長を務める松長知宏氏は語る。そういった建築パースの制作を専門に行う会社も多く、社内に専門チームをもつ同社のような体制は珍しいのだという。


松長知宏氏(隈研吾建築都市設計事務所 設計室長)


CGチームは現在総勢8名。社内のプロジェクトごとにCGチームのスタッフが1人参加して設計スタッフと連携して完成までを担っていく体制で、各スタッフが複数のプロジェクトをかけもちし、月間でも相当数をこなしている。「まずコンペティションに出すイメージ画を制作するところから始まって、コンペに勝つとさらに詳細な設計が始まり、建物が完成する直前までずっと建築パースをつくるので、プロジェクトによってはとても長い期間携わることになります」と松長氏は語る。実際、松長氏がBIM担当として参加したスコットランドのデザイン博物館「V&A Dundee」のプロジェクトは、足かけ8年ほどの制作期間だったという。

 

色のちがいを指摘されることが増え、色管理の必要性を認識

そんな隈研吾建築都市設計事務所のCGチームがCS2731を一斉導入したのは今年6月のこと。これまでCGチームでは、特にモニタなどの機材を統一しておらず、各人がそれぞれ異なる環境で作業をしていたという。「プロジェクトに1人ずつスタッフが参加する体制なので、CGチーム内での連携の必要性が薄く、環境のちがいを気にすることがなかった」と松長氏は当時をふり返る。

ところが、近年建築パースをWebや広告に転用する機会が増え、クライアントに色のちがいを指摘されることが増えた。「自分のモニタで制作しているときには問題ないと思っていた色が、クライアント側ではまったく違う色に見えていて、リテイクを出されることが多くなりました」(松長氏)。これまで特にカラーマネジメントを意識したことがなく、色を合わせようにも手段がない状態だった。そうした状況から、「色基準に従って正しい表示ができるモニタを導入したい」という思いが大きくなっていったのだという。

そこで、松長氏が以前から注目していたEIZOのColorEdgeモニタを借り受けて使ってみたところ、「今まで見ていた画は何だったんだろうというくらい綺麗で感動しました」(松長氏)。様々なモニタを試用した結果、ColorEdgeモニタはチーム全員から高評価を受け、ちょうどCS2731が発売されるタイミングで正式導入に踏み切ることとなった。


CGチームの作業風景

 

木材の繊細な階調も正しく再現

「CS2731を導入したことで、正しい色の基準を社内でもてるようになりました」と語る松長氏。「例えば木組みなどで使われる木材は、全てがまったく同じ色というわけではありません。そのため、CG上でも少し変化をもたせるようにしていますが、これまではプリントアウトするとほとんど色が潰れてわからなくなっていました。CS2731では、制作中も細かい階調が正しい色で再現できているので、作りがいがありますね」。他には夜の表現においても、ColorEdgeは暗部の階調の再現性が段違いに高く、建物の影になる部分のテクスチャなども繊細に再現されるという。

特に、コンペティションでは建築デザインをいかに魅力的に伝えるかという点で、建築パースの画の力が非常に重要になる。「海外のコンペティションでは、例えば北欧のマジックアワーにおける空の微妙なグラデーションの表現ひとつで印象が分かれることもあるので、非常にこだわります。そういった細かな階調を再現できるかどうかはとても大きい」(松長氏)。

また、社内で正しい色の基準をもてるようになったことで、これまでよりも自信をもって作品を送り出せるようになり、クライアントからのリテイクが大幅に減ったという。「不要なキャッチボールが減ることで制作のテンポも上がり、大画面化に伴う効率化と合わせ、体感としてこれまでの2倍に近い量の制作ができるように感じています」(松長氏)。CGチームは建物が完成するギリギリまでパースを描くため、必然的に作業量は多くなる。そうした中でリテイクによる手戻りを減らせることの恩恵は計り知れない。

さらに、これまではフルHDサイズの他社モニタを2台並べて作業をしていたが、色や明るさの調整が細やかにできなかったため、長時間の作業では目の疲れを強く感じていた。しかし、メインモニタをCS2731に替えたことで、1日中モニタを見ていてもほとんど疲れを感じなくなり、健康面でも変化を実感しているという。


現在はメインモニタをCS2731に置き替え、メインモニタでCG制作、サブモニタではメールチェックなどの事務作業をするという使い分けをしている


CS2731は27インチの大画面であるため、デザインワークにとって黄金比率のA3ノビサイズを丸ごと実寸表示でき、さらに細部が小さくなりすぎない絶妙なWQHD解像度(2,560✕1,440)だ。「4Kモニタも検討しましたが、4Kは弊社の業務ではオーバースペックで、CS2731の解像度がまさに弊社にピッタリでした。さらに、モニタ自体が大きいのでツールパレットが小さくなりすぎることなく、データの細部も確認しやすいので、非常に良いサイズでした」(松長氏)。表示性能についても、Adobe RGB 99%をカバーした広色域表示や、出荷前には1台1台キャリブレーションはもとよりエージングをかけて表示を安定させた上で、モニタ画面全体の色や明るさのムラを整えている点など、表示が信頼できることが非常に好評価だという。

なお、CS2731はハードウェア・キャリブレーションに対応しており、アクセサリの測色センサと無償の専用ソフトウェアを使い、定期的にキャリブレーションを行うことで経年変化も含めて色の正確性を維持できるようになっている。モニタ環境の統一という大きな革新を果たしたばかりの隈研吾建築都市設計事務所では、キャリブレーションの運用方法についてはこれから検討していくとのことだが、それは出荷前検査での安定性を信頼している証とも言える。CS2731の導入により、今後も同社の躍進は続きそうだ。

 

info.

ColorEdge CS2731

60W給電対応USB Type-C搭載 27型カラーマネジメントモニタ

推奨解像度:2,560×1,440(アスペクト比16:9)/色域(標準値):Adobe RGBカバー率99%/表示色:USB Type-C、DisplayPort、HDMI:約10億7,374万色(10-bit対応)、DVI:約1,677万色(8-bit対応)/コントラスト比(標準値):1,000:1

製品情報はこちら
www.eizo.co.jp/products/ce/cs2731/

 

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隈研吾建築都市設計事務所
ホームページ:https://kkaa.co.jp/

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