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ヒューマンドキュメント

商品設計・開発[表示デバイス]/松田卓也

最先端に触れ、最高品質をつくる
奥深いモニターの世界を探求中

松田 卓也  
PROFILE
●松田卓也(まつだ たくや)
モジュール&ものづくり統括部表示デバイス開発課。物理学専攻修了。モットーは「深く掘り下げて考える」。

海外で開催されるディスプレイの学会・展示会も毎年視察

私の仕事は大きく3つに分類できます。まず1つ目は、表示デバイスに関する情報収集です。EIZOのモニターに使われる液晶パネルにとどまらず、有機ELや電子ペーパーなど、次世代まで見据えたあらゆる表示デバイスに目を光らせています。インターネットや表示デバイスメーカーを通して情報を収集するだけでなく、毎年夏にはアメリカで開かれるディスプレイの学会・展示会に足を運び、先進的な研究にも触れるように心がけています。
2つ目は、表示デバイスメーカーと協力しての表示デバイス開発です。ヘルスケアやクリエイティブワークなど、各市場で高い品質を求められるEIZOブランドを生み出していくため、ふさわしい表示デバイスを選定し、さらに性能を評価して求めるレベルと合致するまで表示デバイスメーカーとともに引き上げていきます。
そして、3つ目が画質補正機能や工程調整方法の設計です。表示デバイスメーカーから供給される表示デバイスは当然、ある一定のレベルは満たしていますが、EIZOブランドの各市場のユーザーに満足していただくためには、さらにワンランク上のステージを実現しなければなりません。そこで、メーカーから供給される表示デバイスに独自の補正・調整を行うための方法について検討を重ねています。とはいえ、同じ市場向けならば、「補正方法は同じ」というわけではありません。表示デバイスごとに特性が異なりますから、その微細なクセを読み取りながら、製品ごとに求められる品質レベルに応じて、ムラや色調を補正しています。必要ならば、根本的な画質補正の手法そのものを見直すこともあります。
モニターの世界は本当に奥が深い。モニターの色の測定値をピッタリ合わせても、モニターを置く環境や眼の個人差によって違う色に見えることさえあります。それだけに原因が分からず、袋小路に入ってしまうことも少なくありませんが、時間の許す限り突き詰めていきたいと考えています。高品質を追い求めるためには、決して立ち止まってはいられません。

圧倒的なコントラスト比を実現

最先端に触れ、最高品質をつくる――。その一例として思い出深いのが、クリエイティブワーク市場向けモニター「ColorEdge PROMINENCE CG3145」です。この機種ではコントラスト比(※)1,000,000:1という圧倒的な性能を付加した世界初の液晶パネルの開発に深く携わることができました。
入社3年目、プロトタイプが手元に届き、初めて点灯させた時の感動は今でも昨日のことのように覚えています。とてもクセの強い表示デバイスで、これまでにない調整が求められたり、新たな補正機能を開発したりするなど、とても苦労しました。そのかいもあって、製品として発売されたときの達成感は格別でした。
ほかにも、CG3145には、画質補正機能にEIZOブランドとして初めてAIを取り入れました。ASIC開発課やファームウェア開発課などと協力し手がけたこの画質補正機能は現在、他のColorEdgeシリーズやヘルスケア市場向けのRadiForceシリーズなどにも展開されています。少し誇らしいですね。
振り返ると、学生の頃、研究していたのは表面物理学でした。量子力学を用いた特殊な顕微鏡を使い、原子レベルの世界を観察していたのです。入社した時、研究分野とモニターの開発は違う世界だと思っていましたが、モニターの最新技術を追う上で量子力学の知識が役立つことが案外多く、意外なつながりを感じています。「これまでにない領域を探り、これまでにない品質を実現していく」。そんな毎日を通して、これからも新たなEIZO品質を追い求めていきます。

※コントラスト比・・・モニターに表示される明暗差の指標。数値が大きいほど表現できる明暗差が大きく、CG3145の場合、最も明るい部分(白)を1とした時、最も暗い部分をその100万分の1もの暗さにまで落とすことができる。

[この内容は 2019年12月にインタビューしたものです]

松田卓也への一問一答

Q. 学生時代はどんな仕事に就きたいと考えていましたか。
A. 働いて面白そうな仕事に就きたかったですね。そこで、自分の実力を発揮でき、趣味にもマッチしていれば、「なお良し」と考えていました。加えて、ものづくりへのこだわりが強く、高品質な製品をつくりたいとも思っていました。そんなニーズにぴたりと合致したのが、EIZOでした。
 
Q. どんな上司がいますか。
A. 視野の広い方が多いです。例えば、直属の上司は、あちこちにアンテナを張り巡らせ、モニターに関する多彩な情報をつかんでいます。私自身、最新技術の動向に目を配るようにしているのですが、液晶だけでなくそれ以外の技術に関しても、常に上をいかれてしまいます(笑)。
 
Q. これからの目標を聞かせてください。
A. 入社以来、モニターに関する知識や補正技術について勉強・経験してきましたが、まだまだ学び足りません。もっともっとスキルを磨き、「表示デバイスのことならば松田に聞け!」と言われるようになりたいですね。

 

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