ベンガルトラ
インド・バンダウガル国立公園
夜明けにはまだほど遠い早朝、幌の無い四輪駆動車の後部座席に乗り込み、ジャングルへ向けて走り出す。
見上げる空には、無数の星々がくっきりと煌めいている。
レインウウェアーの下にダウンを着込んでいるが、身を切る風が容赦なく体温を奪っていく。
日中は暑いが、朝晩はかなり冷え込む。
ベンガルトラの主要な生息地であるバンダウガル国立公園を訪れ、日の出とともにジャングルに入り、トラを探す。
撮影を始めて数日が経っていたが、トラを間近で見るチャンスはほとんどなかった。
密林に潜んでいることが多く、あまり開けた場所に出てこないのも要因で、遠目に見つけるも状況は思わしくなく、まともな写真が撮れない。
期待はずれの連日だが、焦燥感に苛まれながらも根気よく探し求めていくと、ようやくわずかなシャッターチャンスが訪れた。
力強い縞模様は薮に入ってしまうと周囲に溶け込んで、まるで分からなくなってしまう。
薮から薮へ移動する際に、薮の切れ目から姿を現すわずかな瞬間を逃さず400ミリレンズで狙った。
密林の王と呼ばれるトラ。
百獣の王と呼ばれるライオンと共に、世界の二大肉食獣と言ってもよいだろう。
群れで暮らすライオンと異なり、トラは繁殖期や子育て期をのぞいて単独で暮らす。
シベリアから東南アジアの方までの広大な範囲に生息する。
だが、100年前には10万頭いたとされる8亜種のうち3亜種が絶滅し、現在の生息数は3000頭以下と激減し、絶滅の一途をたどっている。






