オランウータン
インドネシア・ボルネオ島
僕ら人間はヒト科に分類される。
ヒト科の仲間には大型類人猿の四種も含まれる。
アフリカ大陸にすむゴリラ、チンパンジー、ボノボと、東南アジアにすむオランウータンだ。
僕はオランウータンに会いに、インドネシアのボルネオ島を訪れた。
赤道直下に位置する島は果てしのない熱帯雨林が広がり、とても蒸し暑い。
ジャワ海へとそそぐ、タンニンが溶け出して紅茶のような色をした川を船でさかのぼること半日、オランウータンのすむジャングルへと到着した。
ジャングルのなかは背の高い木々が陽の光をさえぎってくれるので、暑さが少しだけやわらぐようだ。
小道を歩いていると、木を背にしてどかっと座り込む一頭のオランウータンがいた。
頬のひだが大きく張り出したフランジと呼ばれる巨大なオスで、このあたりを縄張りとするボスのような存在だ。
顔も体も大きく迫力満点で、強い威圧感さえ漂う。
近くに寄って写真を撮りたいが、フランジのオスに近づくのは少々危険で恐怖心もある。
もし怒らせて襲われたら、人間などはひとたまりもない。
そこで考えたのが、カメラのファインダーをのぞきながら近づくこと。
けっして安全なわけではないが、普通に近づくより、ファインダーをのぞきながらの方が怖さが薄れる。
そうして様子をうかがいながらゆっくりと少しずつ動き、50センチまで近寄った。
いつ殴られるかとドキドキしたが、オランウータンは怒ることもなく、僕のことを放っておいてくれた。






