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クリエイティブワーク

ColorEdge調整レポートとは?その見方を解説

 ColorEdgeを購入すると、出荷時のモニターの表示状態を測定した結果を記した『調整レポート』がモニター1台につき1枚付属します。本ページでは、測定項目ごとに、何をどのように測定しているのか、そして測定結果の数値やグラフの見方について説明しています。

  • 対象機種:ColorEdge CGシリーズ、2023年2月以降に発売のCSシリーズ


以下が実際に製品に付属する調整レポートの一例です。測定項目は機種によって異なります。

調整レポート_1調整レポート_2

 

モデル/シリアルナンバー

モデル/シリアルナンバー

 調整レポートの対象となるモニターの製品名と製造番号(シリアルナンバー、S/N)を表示しています。お使いのモニターの製品名と製造番号は、モニター背面の製品ラベルまたはモニター前面のスイッチでOSDを操作することで確認できます。

OSDの表示
OSD


 

モニター設定、測定条件

モニター設定

測定条件

 調整レポートの各測定項目(ユニフォミティデータ、ガンマなど)を当社工場で測定した際の、モニターの設定および測定条件を表示しています。モニター設定に記載されている各項目はそれぞれ以下を表しています。

  • Brightness:輝度
  • Color Temperature:色温度
  • Gamma Curve:ガンマ値
  • Sensor Instrument:測定に使用した測定器

 

ユニフォミティデータ

ユニフォミティデータ

高精度なセンサーを使用して測定 ユニフォミティとは画面の色や明るさの均一性のことをいいます。調整前のモニターは、画面全体の色味や明るさがばらつく「表示ムラ」があり、色の再現精度に影響を与えます。そこでEIZOでは、ColorEdge生産時に工場で1台ずつ画面全域、全階調で2次元測定と調整を行い、表示ムラを抑えた安定した表示を実現しています。

 通常、測定・補正調整後のモニターは、表示ムラが出にくく、より良い数値が得られるため、調整後のデータがユニフォミティデータとして公開されることが多くあります。しかしColorEdgeは調整後に、ユーザー環境に近づけた状態を再現するため、敢えて上記の調整で使用したセンサーとは異なる高精度なセンサーを使用して上記の図にある25ポイントを1台ずつ再測定し、そのデータを公開しています。当社は、この測定結果が当社の厳しい基準を満たしていることを確認した上で、ColorEdgeを出荷しています。これが、お客様のもとで初回の使用時から安定した表示を実現できる所以になります。


 図の下にある表の数値は、図に記された25ポイントの⊿E00と⊿LRの値を表示しています。⊿E00、⊿LRはそれぞれ以下を意味しています。

・⊿E00(デルタ イー ゼロゼロ)
2点間の色の違いに人間の知覚的特性を加えて数値化したものであり、この数値が大きいほど、目視上色が異なって見えます。表では、中心の色(ポイント13)を0.00とした場合の各ポイントの色の数値を表しています。

・⊿LR(デルタ エル アール)
画面の明るさの均一性を表しており、表では、中心の輝度(ポイント13)を100.00%とした場合の各ポイントの輝度割合を示しています。

 また、すべてのColorEdgeに特許技術である「デジタルユニフォミティ補正回路」を搭載することで、出荷後もそのズレを補正しています。デジタルユニフォミティ補正回路は、モニター全体の階調値をピクセル単位で制御することで、色度・輝度を均一に保っています。

デジタルユニフォミティ補正回路

当社のデジタルユニフォミティ補正についてさらに知りたい方はこちら

 

ガンマ

ガンマ

 ガンマとは、モニターに入力される信号と輝度の関係をいいます。モニターは入力される信号によって輝度が変化しますが、この変化率は入力信号と単純な比例関係にありません。そのため入力信号と輝度の関係が一定になるよう制御を行うことをガンマ補正といいます。
ガンマについて詳しく知りたい方はこちら

 ColorEdgeは、工場でモニター画面の前に直接センサーを置き、1台ずつ赤(R)、緑(G)、青(B)のガンマ値を0~255(8-bitの場合)/0~1023(10-bitの場合)のすべての階調で測定しています。調整レポートのグラフは、すべての階調でのガンマの測定結果を記したものです。測定結果がガンマ2.2のグラフから外れていなければ、そのColorEdgeは理想のガンマカーブを描いており、色かぶりや階調つぶれのない、正確で滑らかな階調表現を実現しているということになります。

  • Windows/Macの、標準のガンマ値は「2.2」とされているため、測定ではガンマ2.2のグラフと比較しています。
EIZO工場でのガンマ値測定


 

グレースケール比較
 

色域

色域

 ColorEdgeは一部の機種を除き、広色域表示に対応しています。色域にはいろいろな規格があり、各規格で定義された色域は、CIE(国際照明委員会)が定めたxy色度図と呼ばれる三角形(右図)で示されます。
色域とは?詳しく知りたい方はこちら

 調整レポートの図には、sRGB/BT.709とDCI-P3※1の規格の色域で調整したColorEdgeのRGBの測定結果が記されています。規格で定められている色域は実線、測定結果は点線で表されており、そのColorEdgeが各規格の色域をどの程度カバーしているかを表しています。

色域2
※1  sRGB…IEC(国際電気標準会議)が策定した国際標準規格の色域。WebサイトもsRGBに準拠して作成されている。
DCI-P3…アメリカの映画制作業界団体Digital Cinema Initiativesが策定したデジタルシネマ向けの色域。

 

色温度

色温度

 色温度とは、通常「白」又は「黒」の色合いを数値的に表現するときに用いられるもので、ケルビン(K)という単位で表します。炎の温度と同様に、モニター画面は色温度が低いと赤っぽく表示され、高いと青っぽく表示されます。一般的に、PCモニターでは色温度が高く、白色が青っぽく表示されます。
色温度とは?詳しく知りたい方はこちら

 ColorEdgeは、工場ですべての階調の色温度を測定しています。調整レポートのグラフは、各階調での色温度の測定結果を記したものです。測定結果の線が6500Kから外れていなければ、そのモニターは各規格で基準となる白の色味であることを表しています。

  • PCの一般用途やsRGB規格、デジタルハイビジョンの国際規格(ITU-R BT.709)では、6500Kの色温度が基準。

 

内蔵センサー精度

内蔵センサー精度

 ColorEdgeのCGシリーズは、自社で開発・生産しているEIZO独自のキャリブレーションセンサーをモニター本体に内蔵した世界初※2のカラーマネージメントモニターです。内蔵キャリブレーションセンサーの輝度・色度の絶対精度は、業界最高水準の高精度な分光式キャリブレーションセンサーを基準とすることで、正確な値を確保しています。また工場では、モニターと同様に内蔵キャリブレーションセンサーも、基準センサーを使用して1台ずつ表示校正を行っています。数値で調整することで、測定精度が高く、個体差の少ない製品を送り出しています。
※2 2010年2月、当社調べ。

 上の図は、0、512、1023階調での、基準センサーとのコレレーション精度の結果を記したものです。測定結果が中心地(図の矢印で指している場所)に近いほど内蔵キャリブレーションセンサーの絶対精度は高く、当社が定める厳しい判定値内(点線で囲まれている部分)であることを示します。

 また、以下の図はColorEdgeの内蔵キャリブレーションセンサーと他社のキャリブレーションセンサーの、白色点の測定結果の個体によるばらつきを表したものであり、ColorEdgeのセンサー(EIZO)は個体によるばらつきが小さいことを表しています。このことから、ColorEdgeの内蔵キャリブレーションセンサーは、精度が高く、個体差が少ないことが分かります。

白色点の測定結果の個体によるばらつき

当社のキャリブレーション技術について詳しく知りたい方はこちら

 

ColorEdgeを選ぶ安心

 ColorEdgeは、これらの複数項目を出荷前に測定し、お客様に調整レポートとして測定結果を提供することで、お客様がモニターの品質を信頼し、安心してお使いいただけることを目指しています。これらの測定結果は以下2点を示しています。

  1. ColorEdgeは生産時に工場で厳密な品質管理を行い、業界最高水準のキャリブレーションセンサーを使用して表示を校正、信頼できる画質を提供していること。
  2. CGシリーズに搭載されている内蔵キャリブレーションセンサーは、非常に精度が高く、容易に正確な色管理を実現していること。

 
 加えて、ColorEdge専用のカラーマネージメントソフトウェアであるColorNavigatorを利用することで、ColorEdgeのキャリブレーションや、調整目標の作成・編集、複数台のモニター管理を手間なく正確に実施できます。これによって、お客様の制作環境を効率よく、より正確なものにします。ColorEdgeは、制作に関わるすべての方に、信頼できる表示を提供するとともに、色管理に費やす時間やコストを最小化し、安心して制作に集中できる環境を提供していきます。

 

ColorEdge

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