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クリエイティブ

株式会社Zaxx GZ-TOKYO 様

 

 撮影、カラーグレーディング、CG、VFX、映像編集、MA、サウンドデザインを手掛けるポストプロダクションGZ-TOKYOの六本木スタジオに、「ColorEdge PROMINENCE CG3145」を導入いただきました。
専務取締役の佐藤氏、執行役員 デジタル・イメージング部 部長 長谷川氏に、導入後の使用感やメリット、また同社の4K/HDRコンテンツへの取り組みについて伺いました。
 
専務取締役 Flame Artist
佐藤 和彦氏
 
執行役員
デジタル・イメージング部 部長
DIT/カラリスト
長谷川 伸氏


 

CG3145導入のきっかけを教えてください。

長谷川氏:この六本木スタジオをオープンした当初に掲げていた目標の中に、「4K/HDRをきちんとやっていこう」ということを掲げていました。内覧会にお見せする4K/HDRデモリールは作ったのですが、それ以降にも何か作りたいなという時にちょうどお借りしたことがきっかけです。4K/HDRは技術的にまだまだ複雑な部分もあるので、その理解も含めて最初は部署内トレーニングの名目でデモリール作りがスタートしました。

佐藤氏:まだ直接の業務はそこまで多くはないのですが、2018年12月から4K/8K BS放送も始まるので、これからHDRを制作するにあたりとにかく1台入れてみようと導入検討を始めました。

 

導入の理由と効果を教えてください。

佐藤氏:カラーマネージメント機能や表示の安定性という特長はもちろん、将来的なランニングも含めて検討しました。今後4K/HDRを増やしていきたいという時に長時間のものに対応できる=長寿命であるということ、性能の劣化も最小限であるということも含めて導入を決めました。

長谷川氏:特に4K/HDR制作モニターは、解像度が4Kあるということとパネル自体の緻密さも必要ですし、HDRの階調表現も問われるので、厳しい目で選定しました。
実は最初、CG3145が液晶パネルということを知らなかったので、有機ELにひけをとらない表示ができるのはすごい、という印象でした。今まで液晶は黒が出にくいとか、ハイライトの発光感がどうしても他のパネルのタイプに比べると劣るという印象があったのですが、CG3145はそれを感じさせませんでした。

佐藤氏:コントラストもそうですが、ハロー現象がなくきちんとエッジで黒になるというのがすごいなと思いました。これだけきちんと出るのであれば、焼き付きがない点や長寿命というコスト面も色々考えると、十分リファレンスに活用できると思いましたね。

長谷川氏:1000cd/m2が全画面表示でき、データとしてあるべき輝度がきちんと出ることでストレスを感じないことが大きかったです。やはり画面を見て、この画がいかに美しくなるかを突き詰めていく中で、モニター輝度の制約を気にしながら作業するのはやりにくいものです。そうした問題をカバーできる液晶モニターといち早く出会えたのはよかったです。

佐藤氏:リファレンスモニターとしては、数年のスパンでも安定して使えることを重視して選定しました。輝度が落ちてくるのは多少仕方ないとしても、色の変化や焼き付きがあると会社の信用にも関わります。そういった意味では、このリファレンスモニターだから当社は大丈夫ですよと確立したものがきちんとほしいと考えていました。その点でCG3145は表示性能も十分で焼き付きがない点や長寿命というコスト面も考えると、十分リファレンスに活用できると確信しました。

 

300cd/m2の制作用ラインナップを使ったワークフローについてはいかがでしょうか?

長谷川氏:撮影班で購入したCG318-4KはPQアップグレードしています。
たとえば、4K/HDRとなるとあちこち動き回る撮影の現場に持っていけるモニターは少ないので、撮影の段階である程度確認したいとなった場合に、300cd/m2での見え方の違いを理解した上で、HDRの階調が見られて感覚をつかめる、注意すべき点をチェックできるという意味では有効かと思います。

佐藤氏:あるいは、制作会社で監督が一時的に自分で編集する、ある程度ニュアンスを確認したいというところでは価格的にも有効だと思います。プレビュー用途であるとか、素材の確認であれば、CMでもHDRが本格的に入ってきたら制作会社には需要があると思いますね。

長谷川氏:4K/HDR制作は、実際に見て、やってみないとわからない部分は大きいと思うので、ちゃんとした環境をどれだけ作れるのか・持てるのかというのは大きいですね。

ポスプロの中でも、オフライン室でニュアンスだけでもきちんと見たいという場合や、最終グレーディング以前の確認段階で、HDRのガンマカーブがないとカットが選べないという状況ではとても有効だと思います。コスト的にも助かりますしね。

 

4K/HDR制作のワークフローについて、SDRと変わったことはありますか?
また4K/HDRの表現について教えてください。

長谷川氏:今回制作した4K/HDRのデモリールは、REDのカメラで撮影して、Blackmagic DesignのDaVinci Resolveでグレーディングしました。
従来のSDR制作とHDR制作の工程は、全体の流れとして大きく変わるところは多くはありません。使っている道具と扱い方、注意する部分が異なるだけであまり特別な感じはしませんね。当然4K/HDRに対応したモニターは必要ですが。撮影の段階では後々の作業を考え、どこに注意すべきか・どこをしっかり撮るかを、カラーコレクションでは何を見せるか・明暗のコントラストを意識しました。

HDRはハイライトと同様に、シャドーの中に何かある存在感というのがSDRに比べると非常に出るので、そこの表現力が上がっている=今までは見えなかったものが見えるということなので、これまで気にしていなかったノイズ等をケアしていくことが必要だと思います。

明らかに何かが認識できるのではなく、ただ「何かがそこにある」という風に、感覚的にとらえられる画というのは、SDRとはまったく違う表現の領域、やっぱりHDRとしての表現の力なのかと思います。


同社制作の4K/HDR(PQ)コンテンツ

六本木スタジオ グレーディングルームの環境


佐藤氏:さらに大きいサイズのモニターで見ると、奥行感・空気感ってものがやっぱり素直に感じられます。透明なものの光の反射であるとか、透明感がまったく変わってくるので、平面だけどちゃんとリアルに見えるというのがSDRとまったく違うなと思います。だから微妙な階調がきちんと見えれば、そこには何かの空気があったり、何かうごめいているのが見えたり、すべていろんな感情につながってきますよね。
そういったことはすごく大事なので、そこをどう表現するか、きちんと見える環境をいかにつくるかっていうのは非常に大事ですね。

長谷川氏:作品にはそれにあったトーン・世界観があり、明るければいいってものばかりではない。HDRという、輝度は従来より上がっているというものの中で、あえてフルに使わずに表現していく。暗くしたらSDRになるものではないので、その中にもSDRとは違う光の存在感、うまく明るさと暗さのバランスをとっていくという意味で、トーンの考え方・設計の仕方がやはりSDRとは違うかなと思います。
光のバランスの考え方も、ここで少し変わるのかなという感じがしますね。

現場でも、ある程度そういうところを見越して撮影いくことも必要になってくるかもしれません。

 

4K/HDRへの取り組みについて教えてください。

佐藤氏:放送以外にも大型映像も制作しているので、4K/8K以上のものをHDR化して表現できればサイネージとしても変わるでしょうし、プレゼンテーションしていきたいなあというのはあります。

当社のエディターもカラリストも大きな解像度には許容範囲も広く、収録はもちろん、合成もある程度4Kで行うことも多いのでマシン的にもほぼ要件はクリアしています。4K/8K放送開始は間近で、オリンピックもありますのでこの1-2年で世の中がどう動くかはものすごく期待しています。
またCM制作会社にプレゼンテーションできるものを制作中です。
地方局でも開発・表現するためには、2KでもHDRがやれたらいいのではないかという思いはあるので、そういったことは代表取締役と一緒に取り組んでますね。

長谷川氏:その中で、我々はコンテンツをいかに増やしていくか、見ている人に魅力を感じてもらうような表現の仕方を考えなければと思います。HDRの良さをちゃんと伝えられるようなコンテンツ作りを心がけていかないといけないですし、どんな球も打ち返せる体制にしていくのが重要であり、責任だと感じています。

 

当社に対する要望はありますか?

佐藤氏:今回我々が4K/HDR制作に関してどういった活動をしているのかお話するいい機会になりました。
また普段から技術・開発の方と距離が近く、意見をヒアリングしてくださるのは非常にありがたいです。

 

■ご協力
株式会社Zaxx GZ-TOKYO
ホームページ:gz-tokyo.jp



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本事例の内容は取材当時のものであり、閲覧時点で変更されている可能性があります。ご了承ください。


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