導入事例

サイトウマコト 氏

世界中で高い評価を受ける作品を作り上げていく過程ではモニターも重要なツール。 サイトウマコト氏のデザイン室でもColorEdgeが使われている。

グラフィックデザイン、広告アートディレクションをはじめ幅広い分野で活躍する総合クリエイターのサイトウマコト氏。サイトウ氏のデザイン室では ColorEdge CG220が使用されている。思い通りの「色」を手に入れるために何度も印刷業者とやり取りを繰り返す作品作りの中で、ColorEdgeを導入したことは作業の効率化に寄与しているという。サイトウ氏のデザイン室にお邪魔し、作品のことからColorEdgeのことまで広くお話をうかがってきた。

−サイトウさんの作品は国内、海外問わず高く評価されていますね

僕は昔から日本ではなくて世界で自分がどんな風に評価されるのかを見たかったんです。だから日本で認められることはもちろん意味のあることなんだけど、自分が世界に示す部分の力試しをやらないといけないと思うんですよね。そういうことを若いときから強く意識していたんで、その結果が世界でたくさんの賞をいただけるという結果にも繋がったのだと思います。世界を意識しているっていうのは、目標と心意気と、そしてエネルギーが全然違うんですよね。日本でもいろいろと活動しながらも、やはり片や世界を見つめながら自分の位置みたいなものはやはり1つ持っていかないといけないと思いますね。

  • Hasegawa

    Title: Hasegawa
    Year: 1985
    Client: Hasegawa

  • Ba-Tsu

    Title: Ba-Tsu
    Year: 1994
    Client: Ba-Tsu

−作品が評価されている理由はどういうものだと感じられていますか?

僕は勉強できなければデザインができないとか、物が解らないとか言われてたけど、勉強はしなかったんですね。小学校の通信簿も図工だって4を取ったのが時々であとは3だったかな。だけど僕は悔しかったから、大人の展覧会でグランプリを取ったんです。日本でも有名な美術家たちやもちろん学校の先生なんかもたくさん出展するような展示会に。そこで僕は小学校と中学校のときにグランプリを獲得したんですよね。でも相変わらず通信簿は悪かったんですけどね (笑) 。だから僕はデザイン学校も出てないし、デッサンを勉強したこともない。でもモノ自体の理解力、瞬時に捉える力っていうのは誰にも負けないですね。やっぱり自分の感性を研ぎ澄ました部分を持っていれば、ある程度のものは理解できると思いますよね。

サイトウマコト氏

でも僕は自分の生き方が正しい生き方だとは全然思ってない。もう僕はこういう性格なんだということを受け入れて、良かろうが悪かろうがそのように生きるしかないんだよ。自分のいいところは胸張って、そうじゃないところは自分に良く認識してやっていくんだよ。それにプライベートでも仕事でも欲しいものは欲しいって言うし、欲しいものは欲しくないなんて言えないよ。そういう風に正直にやってきた証が結果としてどうなるのか、死ぬ前に「僕は最低だったな」と思いながら死ぬのか、「いい加減だったけど結構頑張ったな」とか思いながら死ぬか、それは分からないですよね。最後に何を思って自分を思い、あの世に行くかと。生きている間は自分に素直に対応していくだけだし、ちょっと恥ずかしいと思ったら控えめにして、でもそれに気付かなかったらそのまま行けばいいし。それが自分だしね。そういう生き方をしながら、そういう生き方の部分で、サイトウマコトは生き方をデザインしている、という思いはありますね。

−サイトウさんは幅広い分野でご活躍されていますよね

以前、携帯電話のデザインもやったんですけどね。誰も僕がやるとは思っていなかったでしょうね (笑) 。それに僕のグラフィックのデザインを見ている人は、変わった形をしたものを作ると思っていただろうね。でも僕は何もしない、ただの塊だけというのをやりたかった。みんなをこう思わせておいて、違うことをするっていうのが僕の手法なんですよ。それをみんな分かってなかったんでしょうね。だから驚かれた。でも僕の中にはアカデミックな部分もあれば、アバンギャルドな部分もあるわけ。アカデミックな部分は今僕がやる意味がないと思っていたから、作品づくりにおいてはアバンギャルドな方向でやっていたわけなんですよ。だけどそういう僕の心理的な部分は誰も分かってないし、だからこそ僕はみんなが思っているのとは違う風に、ある意味おちょくりを入れるというデザイン作業をするわけでね。

サイトウマコト氏

それに僕はビジネスティックなこともやりますよ。たとえばある洋服ブランドでは広告デザインだけ、フィルムのディレクターだけをやったんじゃなくて、ショップのマーケティングディレクターや洋服のディレクションまでもやっていたわけですよ。それで売り上げをゼロから数百億にまで持っていくことをやったけど、広告とかデザインのグラフィックをやって、売れなくなると「広告の責任」になる。でも売れたら「商品のちから」なんですよね。でも僕はそんな不条理な部分で責任を取らされるのはいやだって思ったわけ。だから全部僕に任せてくれってその会社に言ったの。失敗したらもらったお金は全部返しますと。こっちは気合入ってるから、自分の力を見せたいっていうギリギリのところに自分を追い込んで取り組むわけだからね。そこで見せた部分で失敗したことは一度もないですね。

−グラフィックのデザインをされる場合には、どのような部分でコンピュータやモニターをご使用になるのですか?

作品のイメージは大体自分の頭の中にあるので、モニター上ではそれを見える形にしていったり、作品の色のシミュレーション用に頻繁に使いますね。グラフィック的な色の絵とか写真的な色の確認とかというのはモニター上ですることが多いです。特にタイポグラフィーの時なんかは、パソコンを使うとものすごく楽ですよね。ColorEdgeだとモニターのクオリティが高いから、色の合わせもある程度いろいろ緻密に見れるし。CI作るときは非常に助かるね。もちろん写真を扱うときにも結構助かりますけどね。やっぱり他社製品と比較するとクオリティが違うよね。

サイトウマコト氏

ただ、コンピュータでやらずに、自分で切り刻んで作るアナログの作品もあります。シルクスクリーンの作品だけど、1版1版全部指定して刷っている。版を重ね合わせて映像を作っていくというのが僕の80年代のやり方だから。コンピュータはコンピュータなんですよね。目が細かいだけ人の手の感じがしないというか。フォトコラージュみたいな仕事もコンピュータでは一切やらない。こういうのは手でやった強さがあるからね。コンピュータでやってしまうと絵の力が小さくなってしまう。だからこういうのは本物を見たときに違うよね。手で1つ1つ置いていって、それをそのあと固定していって、それをあとで版下で全部指定していくんだけど、もうイメージの工作みたいな形でやっていくんだけどね。

−そうなると、一緒にお仕事をされる印刷会社さんにその意図を伝えるのは難しいでしょうね?

いや、かなり僕のイメージに近い原稿をそのまま渡すから、印刷会社さんの方もちゃんとわかりますよね。ただ、色とか質感の出し方なんかは大変だと思います。たとえば黒でも何種類もあるからね。光沢のある黒からマットな黒まで何種類でも作れるんですよね。以前「Black to Black」っていう作品を作った時には、8種類ぐらいの黒を使いましたね。だから作品を複写して本に載ったものっていうのは、オリジナルの魅力というものはなかなか伝わらないんだよね。僕はコンピュータ化されていく部分とともに、それに相反する部分としての力が走っていると思うから、そのアナログ的な方向にどんどん行けば行くほど、やっぱり生で見たときの力っていうのが全然違ってくるんだと思うんですよね。

−デザイン室ではColorEdge CG220をご使用になられていますが、CG220についてはどのようなご感想をお持ちですか?

デザイン室ではColorEdgeと他社のモニターも使ってるけど、表示性能の差は明確にありますね。プロとアマチュアぐらいの差が感じられます。 ColorEdgeのクオリティはやっぱりプロユースですね。個人的な意見としては、グラフィックデザイナーのプロとして本格的にやっていこうとする人は、ColorEdgeぐらいのレベルのモニターを使ったほうが良いと思うけどね。

サイトウマコト氏

特に僕がパソコンを使う場合には、自分のイメージした色をモニター上で表現して、それを最終の色として認識するから、印刷の仕上がりでもその色を求めることになるわけですよね。だからこそモニターには高い性能を求めます。CMYKの色域の中で求める色を選択していれば、それは必ず印刷でも出てくるはずですよね。モニターの色が信頼できれば、その色を絶対の基準として以降の作業を進めていけるので、印刷会社さんも納得できるし、お互いのやり取りの精度もあがって効率的ですよね。
それとCG220は全体的な部分、つまり顔つき、デザインと技術的な性能とが一致している感じがしますね。川崎和男さんのデザインが中身の性能をすごく象徴していると感じますね。デザイナーの力を出すのも、企業のある力をだすのも、デザイナーと企業との出会いみたいなものって非常にあると思う。EIZO、 ColorEdgeではそれが非常に高いレベルで出会って昇華している方向にあるんじゃないかと僕は思いますけどね。だから、製品も何か本格的というか、プロユースというか、そういう部分ではぴったりはまっているんじゃないですかね。

−では最後に、サイトウさんのお仕事において、モニターに求めるものは何ですか?

「信頼」ですね。このモニターの表示は正確なんだ、大丈夫なんだ、という信頼。CG220に表示された色を色の基準として、「この色を出してください」ということでデータを印刷所に渡す感じだから。そういう意味ではColorEdgeは僕の仕事の要みたいなものにはなっているんじゃないかな。

−ありがとうございました。

サイトウマコト氏

1952年、福岡県八女市生まれ。グラフィックデザイン、広告アートディレクション、クリエイティブディレクション、映像監督、商品開発のプロデュース及びデザインなど数多くの分野を手がける総合クリエイター。1980年代に入ってグラフィックデザイン界に衝撃的にデビュー。以来、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ展、ニューヨークアートディレクターズクラブ国際展、ラハティ国際ポスタービエンナーレ展などの代表的国際ポスター展をはじめ、世界のグラフィックシーンにおいて多数の受賞を誇る。その作品は、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、ロンドンヴィクトリア&アルバードミュージアムなど世界20ヶ所以上の近代美術館にパーマネントコレクションされている。日本文化デザイン会議会員、東京アートディレクターズクラブ (東京ADC) 会員、日本グラフィックデザイナー協会 (JAGDA) 、国際グラフィック連盟 (AGI) 会員、日本グッドデザイン選考委員、毎日デザイン賞調査委員、毎日芸術賞調査委員。